

飲食店開業の際、必ず乗り越えなければならない壁が「店舗コンセプト決め」です。
カフェ、ラーメン屋、カレー屋、中華料理屋、バー、居酒屋、和食屋など「何を扱うお店か」は決めたものの、どんなお店にすれば成功できるのか、迷っているのではないでしょうか?
コンセプト作りは開業準備の第一歩です。お店の魅力そのものであり、事業の成功に大きな影響を及ぼします。必ず成功するコンセプトの決め方は、残念ながらありません。しかし、なるべく失敗しないように注意することはできます。
「飲食店の独立・開業・経営のための15の準備」でも簡単に説明しましたが、この記事ではコンセプトをどうやって決めれば良いのか、コンセプト作りについてより深く解説していきます。
飲食店にコンセプトが必要な理由と注意点

コンセプトは店名や店舗デザイン、業態などに関わる重要な要素です。
コンセプトを決めるメリットはいくつもありますが、必ず設定する必要はあるのでしょうか?以下でコンセプト設計における注意点とともに解説します。
コンセプトを決める理由
コンセプトとは、お店の「テーマ」や「骨子」のことです。簡単に言うと「どんな飲食店にするか」ということであり、お店がお客さんに提供する価値を表します。
考え方の軸を作りお店を開店する際の迷走を防ぐためにも、コンセプトを決めることは重要です。
お店を開店するにあたっては、以下で挙げる例のように決めるべきポイントがあります。
- 店名
- 立地
- 内装
- 価格
- 開店時間
- 雇い入れる従業員
こうしたお店の詳細を決める際に、考え方の軸が決まっていれば、方針で迷走した時やアイデアが出ない時などに悩まなくて済むでしょう。
「こういうコンセプトなら、この店名のほうがお客さんにわかりやすいな」
「このコンセプトを伝えるためには、こんな内装が必要だな」
「このコンセプトに共感してくれる人を雇おう」
といった具合で結論を出すことが可能です。
ほかにも、コップのデザインやPOPのメッセージといった店舗運営に必要なちょっとしたことでも、コンセプトに沿って決めればよくなります。逆に軸がないと、結果としてちぐはぐなお店となってしまい、お客様に価値を十分に伝えられず失敗することになりかねません。
成功しているお店には、必ずしっかりとしたコンセプトがあります。お客様が「このお店に行けば、こういう価値を提供してくれる」ということが明確にわかるので、お店のブランディングができるのです。
コンセプトに沿った店づくりをすればお客様にも伝わるため、「こんなお店に行った」という口コミがされやすくなり、集客やリピーター獲得にもつながるでしょう。
コンセプトを決める際の注意点
もしかしたら、あなたにはすでに「こんな業態のお店をやろう」というアイディアがあるかもしれませんね。例えば、「伝統的な赤酢を使った江戸前寿司を提供しよう」「ハワイに精通したスタッフを集めた店舗を作ろう」といったような。
こういったアイディアは、コンセプトを決める上で重要な材料となりますが、コンセプト自体とは区別して考える必要があります。
ここでいうアイディアとは「あなたのお店が提供することができる商品・サービス」で、コンセプトは、そこから一歩踏み込んで「お客様が実際にお店に訪れたくなる理由」です。
もしかしたら、あなたがすでに考えているアイディアはコンセプトに近いものかもしれませんが、一度アイディアとコンセプトと区別して考えてみましょう。
有名飲食店のコンセプト事例

では、実際にどんなコンセプトがあるのでしょうか?
有名店の例を紹介しますので、一緒に考えてみましょう。
スターバックスコーヒー
Third place(第3の場所)
世界的に愛されているカフェであるスターバックスのコンセプトはとてもシンプルで、「第3の場所」です。第1の場所である「家庭」、第2の場所である「職場・学校」の次に位置する、人々が交流する場所としての「第3の場所」となることをコンセプトに店舗展開をしています。
シンプルですが、このコンセプトをもとに「居心地のよい店」「集いやすい立地」などを店舗設計し、従業員にも徹底させることで支持を得ているのです。
いきなり!ステーキ
本格ステーキを立ち食いで量り売り
高級なイメージのあるステーキを、高級さとは真逆の「立ち食い」「量り売り」で提供するという、意外な組み合わせでコンセプトを作り上げ、これまでにない価値を提供することで大成功を収めている例です。
吉野家
うまい、やすい、はやい
説明する必要がないほど、有名なフレーズですよね。
日本発のファーストフードとして、とてもわかりやすいコンセプトです。
スシロー
うまいすしを、腹一杯
大規模回転寿司チェーンの一つであるスシローのコンセプトです。
高い品質のお寿司を安価に提供する、というシンプルですがなかなかマネのできない価値を提供しています。
鳥貴族
298円均一(税抜)の感動
安くて美味しい焼鳥屋さんとして、たびたびメディアにも取り上げられ、快進撃を続ける鳥貴族のコンセプトは、金額が明確に出ている点が大きな特徴です。
金額が変わればコンセプトの数字も若干変化するかもしれませんが、とにかく「この金額で、こんな美味しい焼き鳥を」提供することを何より重視しています。
シンプルだと強いが、規模によってはもう少し具体的にしてもよい
いずれも大規模チェーンなので、非常にシンプルですし、抽象的に見えるものも少なくありません。
ただ、いずれもそのコンセプトに忠実に店舗づくりをしているからこそ、根強いファンが付き、繁盛店となり成功を遂げています。
規模の小さいお店では、ここまでシンプルなコンセプトで進めることは難しいかもしれませんが、これらのコンセプトを参考にしてみるとよいでしょう。
【コンセプトの決め方 STEP1】アイディアを見つける

実際にコンセプトを決める際に、まず必要なのはアイディアです。
アイディアは競合店の情報やトレンド情報から考えることができますし、すでにお店で提供したい価値が決まっていれば、そこからコンセプトを作ることもできます。
アイディアのヒントはさまざまあり、7W2Hの視点から探すと見つけやすくなります。コンセプトで悩んでいる方は、これからお伝えするアイディアの見つけ方に沿って考えるのもよいでしょう。
アイディアを身近なところから見つける
ここからは、具体的にどうやってコンセプトを作り、使っていくかをステップごとに説明していきます。
まず、新しく始める自分のお店でどんなことをしたいか、すでにアイディアはありますか?もしあるのであれば、そのアイディアを元にコンセプトを考えても良いですが、せっかくなので他にも有望なアイディアがないか、もう一度確認してみましょう。
- あなたが欲しいもの
- 雑誌やテレビ番組、インターネットなどから得られるトレンドの観察
- 取引先からの情報
- 競合店の動向
などで、有望そうなアイディアのヒントがなかったか、考えてみましょう。
アイディアは多ければ多いほど良いといえます。たくさんの候補から一番有望そうなものを選ぶこともできますし、すでにあるアイディアとかけあわせてより発展させたものが見つかるかもしれません。
コンセプトに悩んでいる段階であれば、やり直しには苦労もありません。自分が納得できるアイディアを探し続けましょう。
7W2Hからアイディアのヒントを見つける
とは言っても、なかなかアイディアが出ないかもしれません。
そこで、「5W1H」ならぬ「7W2H」をもとに、お客様に提供できるコンセプトの素やあなたの「こだわり」を考えてみましょう。
「7W2H」とは、英語の勉強でよく使う
- When
- Where
- Who
- What
- Why
- How
に次の3つを足したもの。
- Which
- Whom
- How much
これらをもとに、自分に質問を重ねてアイディアを出していくのです。
When(いつ) | 開業時期は? |
Where(どこで) | 出店場所は?どのような立地? |
Who(誰が) | どのようなスタッフと? |
What(何を) | どのようなメニューを提供しますか? |
Why(なぜ) | なぜあなたはそのお店を開業したいのですか? |
How(どんなふうに) | お店のコンセプトはなんですか?内装のイメージは? |
Which(どれを) | 特におすすめしていきたいメニューや商品はなんですか? |
Whom(誰を) | メインターゲットとする客層は? |
How much? (いくらで) | いくらで提供しますか? |
【When……いつ】
あなたが開業しようとしている時期はいつですか?
いつまでに、なぜその時期にお店を始めるのでしょうか。
【Where……どこで】
あなたが開業したい場所、開業できる場所はどこでしょうか。
そこはどんな街で、どんな人がくるのでしょうか。高級住宅街でしょうか。オフィス街でしょうか。それとも地方の商店街でしょうか。
そうした場所に沿ったコンセプトもいいでしょう。あるいは、競合店がやっていないコンセプトをあえて狙ってみるのもいいかもしれません。
【Who……誰が】
他店にないメニューを考えることはなかなか難しいものですが、あなたやお店の従業員は、必ず一人一人違う、他にない財産です。
出身地、性格、経歴、醸し出す雰囲気……。そこに、お店が打ち出すべきコンセプトのヒントがあるかもしれません。
【What……何を】
あなたのお店では、どのようなメニューを提供するのでしょうか。
料理の種類だけでなく、産地や農法、製法、鮮度など、こだわりたいものや、他にないものはないでしょうか。
【Why……なぜ】
なぜあなたは、お店を始めるのでしょうか?
なぜあなたは、そのメニューを作るのでしょうか?
こうした根本的な理由から生まれるコンセプトもあります。
例えば「ラーメンが好きだから」「イタリアンを修行したから」という理由だったとしたら、さらに突き詰めてみましょう。
「なぜラーメンが好きなのか」「なぜイタリアンを修行したのか」そうして「なぜ」「なぜ」を繰り返して行く中で、あなただけが提供できる価値があるかもしれません。
【How……どんな風に提供するか】
同じ料理でも、どんな風に提供するか、どんな空間で食べるかなどで、お客様が得る体験は全く違ってきます。
食べ放題、立ち食い、セルフサービス、テイクアウトもできる。あるいは、古民家風の建物で、モノトーンのシンプルな空間で、などなど。
自分の好きなものや、こんな風に提供したら面白いのでは、というものを考えてみましょう。
【Which……どれを】
数あるメニューの中で、どのメニューを看板メニューにするか考えてみるのもよいでしょう。
あるいは、豊富なメニューを取り揃えるのか、逆に絞ったメニューで勝負するのかを考えてみるのもよいでしょう。
【Whom……誰を】
お客様になってほしい人は、どんな人でしょうか。
サラリーマン?学生?女性?家族連れ?富裕層?お洒落に敏感な人?音楽好きな人?あるいは観光客でしょうか?
来て欲しい人が喜んでくれるコンセプトを考えてみるのもよいでしょう。
【How much……いくらで】
料理をいくらで提供するのか、価格帯や値段自体を前面に推し出すことも可能です。競合店よりも安く提供するのか、あるいは付加価値を加えて高くするのか、といったところからコンセプトを整えてみます。
【コンセプトの決め方 STEP2】一言で言えるキャッチフレーズに落とし込む
いろいろなアイディアは思い浮かんだでしょうか。アイディアは、箇条書きでも、文章でもかまいません。思いついたらどんどん書き出していくことが大切です。次に、そうして出てきたアイディアを組み合わせたり、突き詰めて考えたりしてみましょう。
重要なのはそれが「お客様がお店に来る理由になるか?」です。決して独りよがりにならず、お客様の立場になって、行ってみたくなるコンセプトかどうかを考えてみましょう。
さて、コンセプトは、誰にでもすぐにわかるものである必要があります。箇条書きやだらだらと長い文章では、他人に伝えることが難しいですし、自分でも理解しにくいものです。
パッと聞いて、お店のイメージが湧くようなキャッチフレーズにできるよう、なるべく余計な要素をそぎ落として、できるだけ端的に表してみるとよいでしょう。
【コンセプトの決め方 STEP3】コンセプトシートをつくり、具体的な店舗をイメージする
コンセプト自体に意味はありません。実際にお店がオープンして、サービス・商品がお客様に届くことで初めて価値が生まれます。
そこで、コンセプトをもう少し具体的な店舗のパーツに落とし込んで考えてみて、本当に自分の理想とするお店にふさわしいコンセプトになっているか、確認してみましょう。
お店の根幹となる次の8つの項目を書き出しながら、コンセプト設計をしていきましょう。
順番通りに記載することで状況を整理しやすくなりますが、書きやすいところから書いてもよいでしょう。重要なのは「基本コンセプト」とズレがないかということです。常にこの基本コンセプトを意識して、書き出してみましょう。
もし、各項目内容と基本コンセプトが相反するようであれば、どちらかを見直さなければならないかもしれません。
1. 立地・物件条件
お客様が直接足を運ばなければならない飲食店にとって、どういう場所で店舗経営を行うかは非常に重要です。
一般的には駅の近くなど、交通量が多いアクセスが良い場所が有利です。しかしこういった条件の良い場所にお店を出せるとは限りません。
あるいは隠れ家的なお店であれば、逆にある程度アクセスが悪い方が、感じが出るかもしれません。
また、物件の広さも大切です。広いほど多くの席をつくれますし、ゆったりしたレイアウトにできます。しかしそのぶん管理が大変になりますし、賃料も高くなります。
お客様の立場で考えてみると、基本的にはいつも通勤や通学などで移動する範囲の中から、目的を満たすお店を探すはずです。例えば、設定しようとしている営業時間内にあなたのお店の前を通る人はどんな人でしょうか?通勤する会社員が多いのであれば、朝食の需要があるかもしれません。
2. ターゲット
ターゲットとは「誰を顧客とするか」ということです。
「誰からも愛される」というのは一つの理想ですが、現実的には実際にお店を訪れる顧客は限定されるものです。どんな人があなたのお店に訪れるのか、漠然とイメージがあるかもしれませんが、きちんと整理してお店の強みは何になるのかを考えてみましょう。
- 年齢、性別
- 収入
- 職業
- 家族構成
- 来店する時間
高級料亭と気軽に入れる定食屋を比べると、主にターゲットの収入が違ってきます。牛丼屋を考えてみても、個人客に集中するのかファミリー層も重視するのかという選択肢があります。あなたのコンセプトに上手くマッチするのはどのようなターゲットでしょうか?
3. ポジショニング・利用動機とメリット
ポジショニングとは、あなたのお店がお客様にとってどういう位置づけなのかということです。お客様が何のために来店するのか、利用シーンを考えてみると、わかりやすいかもしれません。
毎日利用する定食屋なのか、接待に使う料亭なのか、一体どちらでしょう?デートで訪れるお店でしょうか?友人と楽しく酒を飲むために訪れるお店でしょうか?あなたのお店ではプレゼントを購入しますか?それとも普段使いのものを購入しますか?
位置づけは他のお店と比較することでも明らかになるものです。お客様にとってあなたの店舗は他の店舗とどう違うのか、考えてみましょう。
4. サービス・オペレーション
接客の方法もコンセプトに沿って考えてみましょう。
お客様をどんな風にお迎えして、どんな風にメニューをお知らせして、注文を受けるのでしょうか。
お料理の提供はセルフサービスでしょうか。それとも一品ずつお届けするのでしょうか。目の前で取り分けてくれるのでしょうか。お客様自身に取り分けていただくのでしょうか。
また、コミュニケーションはどうでしょうか。商品知識を豊富に持って、お客様とおしゃべりをしながらじっくり決めてもらうのでしょうか。
もし人を雇って接客してもらうとしたら、提供したいサービスに適した人材を探す必要があります。
5. メニュー
飲食店なので、やはり重要なのはメニューです。
安心できる定番メニューもあれば、そのお店でしか提供できない料理やお酒もあるでしょう。
品目数を多くし選択肢を増やすか、少数精鋭のわかりやすいメニューとするか決定します。「売り」となる看板メニューを考案することも、成功の秘訣です。
ターゲットの客層や提供するメニューから、客単価も想定しておきましょう。
6. 店内外環境
内装・外装の店舗デザインやメニューブックのデザイン、POPデザイン、食器、調度品など、お客様が実際に見て触れる環境は、お店で得られる体験の大部分を締める重要な要素です。
とはいえ、開店時にかかるコストの多くを占める部分でもあります。
コンセプトが伝わり、お客様に満足していただけるような環境とはどんなものなのか、じっくり考えてみましょう。
7. 価格・支払い方法の設定
メニューの価格は、商品の原価や人件費・家賃などの影響を受けますが、オーナーであるあなたが設定することができます。
しかし、お客様が価格に納得しなければ注文数は増えません。料理や商品、サービスの品質に見合った価格である必要があります。価格が高い場合には高い品質が求められることもあるのです。
支払い方法は、お客様の利便性に影響を与えます。クレジットカードや各種電子マネーなどを利用しての支払いができると、便利だと感じてもらえるため、ターゲット客層に合わせて検討しましょう。
8. プロモーション
良いお店をつくれたとしても、その存在を知らない人が訪れることはありません。プロモーションによって、そこにあなたのお店があって訪れるべき理由があることを知ってもらう必要があります。
雑誌などの紙媒体への広告掲載、割引クーポンの配付、インターネット、あるいは看板……プロモーションにはいろいろな方法がありますが、お店のターゲットにどのくらい効果があるかを考えて方法を選びましょう。
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思い描いたコンセプト通りのお店が実現できればすばらしいことですが、常にそう上手くいくとは限りません。「理想的な物件を見つけたがすでに入居するテナントが決まっていた」「目玉となるこだわり食材が予想よりも高コストだった」など、コンセプト通りに進められないことは珍しくありません。
もしかしたら、コンセプトよりも先に店舗の場所が決まっているかもしれません。
あまりころころ変えるのもよくありませんが、現実にコンセプトを合わせる必要があるのであれば、考え直しましょう。
このときに大切なのは、もう一度最初から考え直すことです。もちろん変える必要のない部分はそのままで構いませんが、変更によって何かのバランスが崩れていないか、ここで説明したことを改めて確認しましょう。
もしも出店するエリアを変更することになったのであれば、他をそのままにするのではなく、ターゲットからプロモーションまで全部を見直します。もしかしたらアイディアそのものにも変更が必要かもしれません。
飲食店のコンセプトを決めるメリットと運営後に気にかけたいこと
これまでご紹介したように、飲食店の運営においてコンセプトの決定は非常に重要です。コンセプトを決めることで、差別化や経営面でもメリットが得られます。一方で、開店後も運営内容や接客がコンセプトと合っているか気にかける必要があるでしょう。
コンセプトを決めるメリット
コンセプトに沿って決めるためお店に関わる判断が早い
コンセプトに沿って物事を決めれば、お店の重要な判断がスムーズに進みます。
特に新規開店のお店だと家具のデザインやメニューの金額、仕入先など、どのように決めれば良いのか判断するのが難しいです。コンセプトがあれば1つの判断基準が作れ、選択肢が広がりすぎずに効率の良い意思決定ができるようになります。
競合店との差別化
コンセプトの決定は、競合店との差別化においても重要です。
例えば、競合店と自店舗が同じラーメン屋の場合、「早い提供スピード」や「高いコストパフォーマンス」などがコンセプトとして決められます。
競合店よりも優れているポイントを全面に出すことで、自分の店を選んでもらえる可能性が高くなります。
融資が通りやすい
融資を受ける際は、事業内容だけではなく、事業の目的や方針も重要視されます。コンセプトを決めて伝えれば、事業の方向性がある程度わかるため、金融機関は融資がしやすくなります。反対にコンセプトのない事業だと、経営の方向性が見えずに信用が得られないため、融資の審査に通らない可能性も高くなります。
運営後に気にかけたいこと
コンセプトと運営内容に違いが出てきていないか
長期間運営していると、最初に設定したコンセプトと現在の運営内容にずれが生じる可能性があります。
最初に設定したコンセプトから離れないようにするためには、運営内容を定期的に見直す
ことが重要です。
コンセプトを見失って運営すると軸がブレた運営となり、お客様に不信感を与えることもあるでしょう。
従業員の接客がコンセプトと合っているか
お店の外装や内装、メニュー以外にも、接客対応は重要なコンセプトの一部です。料理やお店の雰囲気がコンセプト通りであっても、接客がコンセプト通りでなければ、お客様には違和感が残ります。
飲食店では従業員の入れ替わりが激しくなることもあります。従業員がコンセプトを深く理解するためには、接客マニュアルの作成、言葉遣いのアドバイスなどが必要です。
コンセプトの運営が顧客目線であるか
コンセプトを決めて終わりにするのではなく、顧客目線で運営する必要があります。お店づくりでは顧客が来たくなるようなお店、居心地の良いお店を作ることが大切です。顧客目線でコンセプトが作れていないのであれば、売上が上がらないなどの問題に陥るケースも見られます。
良いコンセプトで長く愛される飲食店に
コンセプトとはお店の魅力そのものであり、お客様が訪れる理由です。明快で整合性のとれたコンセプトを作り上げることでお店の魅力はよりはっきりと伝わり、長く愛されることにつながります。
他にも差別化や融資の面でメリットがありますが、開店後もコンセプトと運営の整合性を考えるなど注意点もあります。
浮かんだアイディアをもとに、最高のコンセプトを作り、運営内容に反映させることで最高のお店を実現しましょう。
コンセプトを決める意義は?
成功しているお店には、必ずしっかりとしたコンセプトがあります。
お客様が「このお店に行けば、こういう価値を提供してくれる」ということが明確に分かるのでリピーターになりやすいのです。またコンセプトに沿ったお店づくりをすればお客様にも伝わるので、「こんなお店に行った」という口コミがされやすくなり、集客にもつながって行くのです。
コンセプトを決めるために最初にやることは?
「7W2H」をもとに、お客様に提供できるコンセプトの素やあなたの「こだわり」を考えてみましょう。

