飲食店の求人では「屋内禁煙」または「屋内原則禁煙(喫煙室あり)」の明示が義務化。

飲食店

世の中がどんどん喫煙者に厳しくなっているわけですが、その一つの流れとして、飲食店では、求人を出すときにも「屋内禁煙」「屋内原則禁煙」といった明示が義務化されました。喫煙者にとっては、バイト探しも一苦労というわけです。

1900年代後半は、タバコがどこでも吸える環境が当たり前でしたが、それから年々とタバコを吸える場所は少なくなり、最近ではタバコを吸っていると採用されないというケースも珍しくありません。

では、どうして世の中はここまで喫煙者に厳しくなってきているのでしょうか。その背景や今後の動きについてお話していきます。

改正健康増進法

2020年の東京オリンピックに向けて国と東京都が受動喫煙対策を打ち出し、法整備をしたのが改正健康増進法です。国は2018年7月18日より改正健康増進法によって受動喫煙対策を強化することにしました。

昔から受動喫煙でも身体への影響があると言われています。建物内において受動喫煙を望んでいない人が受動喫煙に巻き込まれないようにするのが改正健康増進法の趣旨の一つです。

また、20歳未満の喫煙が許されてない子供や病気を抱えている人が多い施設や屋外においても受動喫煙の対策が徹底されます。例えば病院や学校の場合、屋内はもちろん敷地内も原則喫煙禁止となります。

ただし、敷地内の屋外においては受動喫煙を防止するための対策がとられた場所のみ喫煙場所を設定することができます。このような場合、喫煙場所を決めて「ここで喫煙していますよ」と掲示することが義務付けられているので受動喫煙を防ぐことができるでしょう。

この改正健康増進法は段階的に適用されていき、2020年4月に全面施行となっています。この法律によって飲食店を含む多くの施設では原則、屋内喫煙禁止となり、違反者には罰則が与えられます。ただし、例外もあります。個人や中小企業(資本金5000万円以下)が経営する飲食店で100平方メートル以下の既存店は例外となり、「喫煙可能」と示すことで喫煙OKです。

しかし、実際は飲食店で客席面積が100平方メートル以下のお店は約55%もあると言われています。「じゃあ、この法律って意味あるの?」と思った人もいるかもしれませんが、はじめは例外なしに喫煙禁止にする案を出していましたが、反発が大きく、それに配慮した形です。

しかし、飲食店はだいたい5年で3割が入れ替わるのでだんだん例外が適用されなくなっていき、それに伴い飲食店=喫煙不可が常識となっていくことが目的とされています。

このような背景があるので、大手串カツ屋が「飲み屋」というスタイルでありながらも、いち早く全席禁煙に取り組んだことが少し話題になりました。禁煙にしてことによって、業績は下がったようですが、今まで来店しなかったファミリー層の顧客が増えたと報告されており、今まで逃していた層の獲得によって、売り上げ回復を狙っています。

今後、どのお店でもタバコが吸えなくなることを考えれば、目先の利益ではなく、時代の変化に対応した取り組みは後々正解になると予想されます。

全国の喫煙者率の変化

2018年全国たばこ喫煙者率調査によると、成人男性の平均喫煙率は27.8%です。ピーク時は83.7%もあり、10人中8~9人はたばこを吸っていたと考えると、ほとんどの成人男性が喫煙していたことになります。そんな昭和41年をピークに子の50年間で喫煙率はどんどん減少していき、約50年間で56ポイントも減少しました。

年代別に見ると、急激な喫煙率の減少が60歳以上は21.3%ですが、30~50歳代ではまだ35%前後を推移しています。成人男性の喫煙率は年々減少していますが、世界的に見るとまだ高い状況であります。

一方、成人女性の平均喫煙率は8.7%とピーク時よりも10%以上減ってはいますが、ほぼ横ばいであり、最も喫煙率が高い年代は40代で13.6%と言われています。

このように、時代が進むにつれて、喫煙者は減少の一途をたどっています。もちろん、健康に悪いという理由でタバコをやめる人もいますが、値上がりを機にタバコをやめる人の数はかなり多いです。

これからもタバコは少しずつ値上げされていくでしょうから、そのタイミングで禁煙をする人は増えてくるでしょう。つまり、今後ますます国内の非喫煙者は増加していくことでしょう。

飲食店の既存店や新店はどのように対策すべきか

2018年7月に成立した改正健康増進法によって、全国では約45%、東京では約84%の飲食店が規制の対象となっています。しかし、個人や中小企業(資本金5000万円以下)が経営する飲食店で100平方メートル以下の既存店は例外です。

しかし、新たに店舗を開く場合は規制の対象となってしまいます。そうなってしまうと、喫煙室を設置するなど費用がかかってしまいます。これでは、実際は喫煙の店舗は出せないようなものですが、国や東京都による飲食施設の喫煙室整備等補助や喫煙室の改修整備に対して行う財政的支援が存在しているので、こういった制度を利用することである程度はコスト面の負担を軽くすることができます。

主な制度は以下の通りです。

受動喫煙防止対策助成金

厚労省が実施しているこの制度は、労働者災害補償保険の適用事業主であって、常時雇用する労働者数が50人以下、または、資本金が5,000万円以下の事業主が対象となっており、上限を100万円とし、工費、設備費、備品費、機械装置費などにかかった金額の3分の2を助成してくれる制度です。

分煙環境整備補助金

こちらは、東京都が行っている「分煙環境整備補助金」が、外国人旅行客の受け入れに向けた飲食施設への補助金で、都内で飲食施設を営む中小企業者であり、大企業が実質的に経営に参加していない店舗が対象となっています。

補助金の金額ですが、補助対象経費の5分の4以内で、1施設につき300万円が限度と言われていてかなり補助してもらえるので積極的に活用したいところです。喫煙室の設置にあたる必要な設備、備品購入費、回収整備費などが対象になっています。

こういった制度を利用すれば、店舗側での負担はかなり減ってきますので、喫煙者が多い業種でも、顧客離れを防ぐ取り組みを行えるとは思います。しかし、ここ数年の国の動きをみても、かなり喫煙者に厳しい制度が導入されているので、上記で紹介した支援制度に関してもいつなくなるかは分からないということだけは頭にいれておきましょう。

まとめ

以上が、我が国における喫煙率や改正健康増進法となっています。何度もお伝えしていますが、これからもますます喫煙者への風当たりはきつくなってくることでしょう。しかし、現段階では喫煙者はまだ多いわけですから、喫煙者向けに店舗内でスペースを用意することは飲食店の売上に大きく関わってくると言えます。

将来的に、飲食店で喫煙できない時代がくるとしても、それもまだ当分先の話でしょうから、喫煙者、禁煙者が上手く共存できる店舗作りを目指していきましょう。

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