
「飲食店の独立・開業・経営のための13の準備」では開業の準備とともに、開業資金の目安をお伝えしました。今回は、資金の用途や調達方法についてより詳しく見ていきます。
飲食店を開業する際に、必要な資金をどう調達するかは頭の痛いところです。一般的な費用を挙げてみると、お金がかかるものから順番に、
- 保証金等の物件費
- 厨房機器
- 内外装費
- 初期仕入れ費用
- 広告宣伝・通信費
- 募集費
- 雑費類
などとなります。
開業に必要な資金の明確化
必要な金額は業態や規模もによって変わってきますが、席数30~40席くらい、ホールと厨房にそれぞれ2名、繁忙期で4名程度の小中規模の飲食店を開業する場合、300万円から500万円の開業資金が必要になることが想定されます。
特に融資や助成金によって調達する場合には、まずは開業資金の合計を明確にすることが大事です。他店事例やインターネット情報などから、行政や金融機関に説得性のある金額で開業資金を整理してください。
項目 | 想定される金額 |
---|---|
保証金・敷金・前払い家賃・仲介手数料 | 月額家賃の10か月~(150万円~) |
厨房機器購入 | 50万円~ |
内外装費用 | 20万円~/坪 |
初期仕入れ費用(含む衛生備品) | 想定月次売り上げの40%程度 |
広告宣伝、通信費 | チラシは枚数により~10万円前後 Webページ作成は30万円前後 インターネットや電話敷設3万円前後 |
募集費 | 5万円~ |
食器その他雑費 | 10万円~ |
資金使途別に開業資金を調達できる先を整理する
資金使途と必要資金を整理したら、資金使途別に調達先を考えることになります。調達先には次のようなものを考えることができます。
資金使途 | 項目 | 管轄 |
---|---|---|
創業資金 | 受給資格者創業支援助成金 ※募集終了中 | 厚生労働省 |
創業資金 | 創業支援事業者補助金 | 中小企業基盤整備機構 |
創業資金 | 創業補助金・第二創業補助金 ※募集終了中 | 中小企業基盤整備機構 |
運転資金全般 | 小規模事業者持続化補助金 ※募集終了中 | 商工会議所 |
運転資金全般 | 日本政策金融公庫の融資 | 日本政策金融公庫 |
運転資金全般 | 制度融資 | 各地方公共団体 |
運転資金全般 | その他の融資 | 各信用金庫、地方銀行 |
運転資金全般 | 事業者ローン | 各ノンバンク |
運転資金全般 | 個人用無担保ローン | 各ノンバンク |
厨房・内外装 | リース | 各リース会社 |
通信費、雑費 | 個人クレジットカード | 各カード会社 |
このなかでも特に注目するべきは、返済が不要である各種助成金・補助金ですが、それぞれの提出要領に合致したきちんとした事業計画を提出しないと認可されません。日本政策金融公庫などの融資は金利が安いかわりに審査が厳しく、融資を受けるのはハードルが高いです。また、金融機関からの調達の場合、だいたい20%~30%の自己資金が求められます。
開業資金の内訳
補助金、助成金、融資を受ける際には、その必要性を説明できなければいけません。資金の調達先とその内訳を簡単にシミュレーションしてみましょう。
ここでは、席数40席、家賃10万/月、売上目標は120万円/月を想定しています。
総開業資金 | 自己資金 | 融資、補助金、助成金 | リースなど | |
---|---|---|---|---|
保証金・敷金10か月 | 100万円 | 50万円 | 50万円 | 0万円 |
家賃前払い2か月 | 20万円 | 0円 | 20万円 | 0万円 |
仲介手数料1か月 | 10万円 | 0円 | 10万円 | 0万円 |
内装・外装費用 | 100万円 | 0円 | 0円 | 100万円 |
厨房機器購入 | 80万円 | 0円 | 0円 | 80万円 |
初期仕入れ(含む衛生備品) | 50万円 | 25万円 | 10万円 | 15万円 |
人材募集(2回) | 10万円 | 0万円 | 10万円 | 0万円 |
広告宣伝・チラシ作成 | 30万円 | 15万円 | 15万円 | 0万円 |
通信費・初期水道光熱費 | 5万円 | 0.5万円 | 0円 | 4.5万円 |
備品、雑費 | 15万円 | 0円 | 0円 | 15万円 |
合計 | 420万円 | 90.5万円 | 115万円 | 214.5万円 |
融資や助成金を受けるポイントとして、以上のように自己資金・他からの資金調達、融資・それ以外を区別し、資金使途と金額を整理することです。何でもかんでも融資や助成金でまかなうのではなく、保証金・敷金・家賃前払い金といった高額な費用を優先的に充当するほうが、将来の資金繰りが楽になります。
また、開業計画を作成する際に、融資や助成金が利用できなかった場合の代替調達手段を備考欄などで記載すると、深みを感じさせる計画になります。例えば、運転資金全般は事業者用のローンを利用、内外装の費用や厨房機器の購入に関してはリース会社を利用、酒類量販店で酒を購入したり、ホームセンターなどで洗剤等の衛生備品を購入する際に、クレジットカード払いを利用するなどです。
各調達方法をうまくミックスし、借入と助成金、補助金のバランスを調整しましょう
まとめ
助成金・補助金、融資を受けやすくするには、
- 開業資金の内訳と金額を整理する。
- どの費用について助成金・補助金・借入を必要とするのか明確にする(資金使途)
- 開業時の自己負担割合が20%程度を超えるように調整する
- 代替調達手段を考慮した計画にする
の4点がポイントになります。4について補足すると
- 物件費については、創業支援の各種助成金、融資を利用
- 内外装費や厨房機器については、リース会社を利用
- クレジットカード払いできるものは、個人のクレジットカードで立替えて分割払い
- さらに開業資金を抑えたければ、事業者ローン等を活用
などの手段を考えておきましょう。
開業資金に頭を悩ませているみなさんも、一度このようなフレームワークに沿って、整理してみてはいかがでしょうか?また、その分野に強いコンサルタントや税理士等の専門家の力を借りることも一つの方法です。
本記事を読まれたみなさんが、事業に必要な助成金、補助金、融資を受けられることを願っています。
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この記事の著者
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UKトラストグループ 近藤 徹MBA、行政書士有資格者。大手上場企業から中小まで経営企画と企業法務で豊富な経験と実績あり。経営戦略+会計+法務含め経営全体をハンズオンで支援。 |