飲食店禁煙化はどうなる?業態や店舗の設計に合わせて取り入れよう!5つの分煙方法

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2020年の東京オリンピックに向け受動喫煙規制の動きが高まるなか、飲食店にとって避けて通れない課題となっている分煙問題。吸う・吸わないに関わらず、今や「喫煙の可否」は店選びの重要なポイントのひとつとなっています。分煙環境は店の満足度にも大いに影響するため、しっかりとした対策が必要です。今回は、分煙についての基本的な知識と、さまざまな分煙方法について紹介していきます。

なぜ飲食店を分煙・禁煙にする動きがあるのか?

一昔前は、タバコを吸えない飲食店は数えるくらいでした。しかし、ここ最近は急激に分煙・禁煙の動きが強まってきており、とうとう「全面禁煙」というところまで話は進んでいます。

なぜ、このような動きが出てきてるのでしょうか。

WHOからの指摘が大きく関係!

WHO、世界保健機関の発表によると、日本は受動喫煙政策の普及状況が最低ランクとなっています。世界の動きを見てみると、世界49カ国が公共の場所で全面禁煙となっています。しかし、日本は公共の場となる室内では全面禁煙にはなっていません。

さらに、受動喫煙の対策も進んでおらず世界から「日本は時代遅れ」と言われているのです。それが日本の問題だけであれば良かったのですが2020年に東京オリンピックが開催されることもあって政府が急激に受動喫煙法の整備を進めているので、我が国は分煙・禁煙化の動きが強まっています。

日本での国際大会が多く開催されることも関係!

日本はスポーツの施設などが整っている為に、国際大会で利用されることも多いです。ただ、ここでも世界からは「選手の健康を害する危険性のある国での開催はいかがなものか?」と度々指摘されており、その為、受動喫煙法の整備が進んでいるとも考えられています。

喫煙者の減少も理由のひとつ!

日本では1966年以降、徐々に喫煙者の数が減ってきており、2017年では成人男性の喫煙率は28%ピーク時に比べると60%も減少しています。つまり、それだけ喫煙者が減ってきており、お店などにとって「禁煙」にすることは売上低下には繋がらないのです。

むしろ、最近では完全禁煙のお店が好かれる傾向にあり、その為に、飲食店も分煙・禁煙に対して積極的になっています。

実際、あるアンケートで「飲食店が禁煙になったら利用回数が変わるか?」という質問に対しての答えは「回数が減る」と答えたのは20%未満で残り80%は「行く回数が増える」「変わらない」と答えています。

分煙の基礎知識

空気清浄機を置いたり、換気扇をこまめに回すなどして、タバコの煙・ニオイ対策をしている方は多いと思います。しかし、それだけではタバコの煙は十分に換気しきれません。煙を効果的に排気するには、給気口を設置し、新しい空気を取り入れながら排気口へ逃がすという“一方向の流れ”を作り出す必要があるのです。また、煙には「上昇しながら拡散する」、「壁や天井、物体の表面を伝う」といった性質があります。以上のことを踏まえ、店舗の形状や壁の形をうまく利用しながら分煙を行うことが大切です。

業態や店舗設計あわせた5つの分煙方法

ひとくちに分煙といっても、簡易なものから本格的な工事が必要なものまで、いろいろな方法があります。お店の構造や広さ、客層、予算に合わせて最適な方法を選びましょう。それでは5つの主な分煙方法について解説していきます。

1. 時間帯分煙

ランチタイムを禁煙にし、ディナータイムを喫煙可とするなど、時間帯によって喫煙・禁煙を分ける方法です。小規模な店舗や、夜の時間帯にお酒を提供する店舗によく見られますね。コストがかからないのが利点ですが、タバコのニオイが残ってしまう危険性も。十分な換気を行うなどの配慮が必要です。

2. エリア分煙

飲食スペースを喫煙できるエリアと喫煙できないエリアに区分けする方法です。看板などを設置し、表示のみで分ける場合と、パーテーションや植栽によって明確に区分する場合とがあります。ファミリーレストランなどがよく取り入れていますね。喫煙場所の上部に局所排気設備を設置すればさらに効果的です。煙が拡散する前に排気できるため、店舗が比較的狭小でも禁煙・喫煙エリアの共存が可能になります。最近ではランプシェード型など、デザイン性を備えた換気システムも見られるようになってきました。

3. 仕切り(個室)分煙

間仕切りなどを設置し、喫煙スペースを個室化する方法です。チェーン店のコーヒーショップなどで見られる方法です。ただし、個室内に煙やニオイがこもったり、禁煙スペースに漏れたりすることがないよう、一定の気流が確保できる換気設備が必要となります。他の方法に比べ施工費や設備費がかかりますが、個室化されているので高い分煙効果を見込めます。喫煙する人にとっても周囲に気を使う必要がないので喜ばれます。店の広さやレイアウトによっては導入が難しい場合も。

4. 屋外分煙

店の外に灰皿を置くなどして、屋外に喫煙スペースを設置する方法です。店内に喫煙環境を整備できない場合の手法として多く用いられます。またオープンテラス型のカフェなどでは屋外の席だけ喫煙可にする、というケースも見かけます。コストはあまりかかりませんが、煙やニオイで他の店舗や通行人に影響を及ぼさないよう、建物の管理者などと相談し周囲の環境に気を配る必要があります。

5. フロア分煙

店舗が複数階に分かれている場合、フロアごとに喫煙・禁煙を設定し分煙する方法です。コーヒーショップやファストフードチェーン店などで多く見られますね。煙の性質を踏まえ、基本的には上層階を喫煙フロアとします。お客様がフロアを行き来することがないよう、それぞれの階にトイレを設置するなどの工夫が必要です。

外食チェーン店の禁煙化事例

徐々に進んでいく受動喫煙法ですが、少し前から世の中の動きをみていち早く禁煙に取り組んでいる企業もありました。それらのチェーン店を紹介していこうと思います。

ロイヤルホスト

ロイヤルホストは2013年と早い段階から全面禁煙を行いました。この取り組みを行った直後は、店内に分煙スペースを設けていましたが、最近の新店舗ではそもそも店内に「分煙スペース」すらなく、完全禁煙となっています。

ロイヤルホストと言えば大手レストランなので、いち早くこの決断をしたことは驚きましたが、その結果、家族連れが増えて平日の昼間は主婦やお年寄りが増え営業成績は上向きになっています。

グローバルダイニング

フードコロシアムなどを経営する会社なのですが、展開する飲食店の99%を全面禁煙とおしています。元々、タバコを吸いたい人の利用者が多かったグループだったので、禁煙にしてからは、サラリーマンなどの利用者は減りましたが、代わりに家族連れが増えて営業成績には全く影響ないと報告を出しています。

マクドナルド

大手チェーン店のマクドナルドも全席禁煙へと切り替えました。低価格でタバコを吸いながら休憩できる場所として人気でしたが、全面禁煙にすることで学生、女性などの利用が一気に増えています。子ども連れの主婦層も利用しやすくなり、日中は子ども連れのお母さんたちで賑わう光景も珍しくありません。

ケンタッキーフライドチキン

KFCは2018年までに直営店は完全禁煙にしました。ただ、フランチャイズ店もあり、一部店舗では室内での禁煙ができる状況にあります。それでも本部の意向でケンタッキーのブランドを使う店舗においては、順次完全禁煙にすると発表しています。

サイゼリヤ

都内を中心に展開する大手ファミリーレストランのサイゼリヤも全席禁煙の動きが強まっており、2019年までには国内全ての店舗にて禁煙になる動きです。今まで分煙スペースを設けての喫煙を許可していましたが、新規店舗については室内に喫煙スペースすら設けられていません。

串カツ田中

ファミリーレストランなどが禁煙にしても、まだ主婦層などの来店が見込めるので、営業的にはさほど問題がないと考えられます。だからこそ、飲み屋のジャンルになる串カツ田中が全席禁煙化にしたことは驚きでした。

現状、客層の変化や客単価の減少と営業的にはマイナスという報告が出ていますが、ブランドイメージの改革を期待しており、禁煙化を解除する考えはないそうです。

以上が受動喫煙法の改定や、日本で禁煙・分煙化が進んでいる理由です。

分煙・禁煙にすると、客足が遠のくように思えます。しかし、その代わりに足を運ぶお客さんもいます。

世の中が禁煙思考にあることを考えれば、室内を全席禁煙にすることは営業的にもブランド的にもプラスに作用すると言えるのではないでしょうか。

助成金制度を利用して賢く分煙しよう

分煙化にあたり、資金面で頭を悩ませている方も多いのではないでしょうか。分煙に取り組む飲食店を対象とした助成金制度があるのをご存知ですか? 国や自治体の制度をうまく活用しながら、賢く分煙対策を進めましょう。

分煙環境整備補助金制度

東京都内の飲食店や宿泊施設を対象にしたもので、増加する外国人旅行者受入れに向け2015年に制定されました。要件を満たせば喫煙室の設置やエリア分煙のための建具・機器を対象に、上限300万円まで助成を受けることができます。

参照:宿泊・飲食施設の分煙化を支援します!東京都産業労働局

受動喫煙防止対策助成金制度

全国すべての業種の中小企業が対象。一定の要件を満たせば、喫煙室の設置などにかかる工費や設備費などを対象に、上限200万円の補助を受けることができます。

参照:受動喫煙防止対策助成金 |厚生労働省

みんなが気持ちよく過ごせる空間づくりを

公共施設の禁煙・分煙化が進む中、受動喫煙やタバコの煙に敏感な人は増えています。集客面を考えても、飲食店の分煙対策は急務といえるでしょう。ホームページや店頭に明確な分煙表示を掲げることで、分煙意識の高さをアピールすることも大切です。上でも述べたように、分煙にはさまざまな方法があります。また、テナントによっては業種に関わらず全フロア禁煙にしているところもありますので、入居前に確認することも大切です。「タバコを吸う人・吸わない人が気持ち良く同席できる空間づくり」を心がけながら、お店の構造や広さ、業態に合わせた分煙対策を考えましょう。

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