最近は人手不足の影響から、外国人をスタッフに雇い入れる飲食店が増えています。訪日外国人を顧客ターゲットとしたインバウンドの面では、外国語に堪能な外国人スタッフは心強い味方です。店主・店長が外国語を話せなくても、接客や集客、メニュー表示などの外国語対応が可能となりますので、その一例をご紹介しましょう。
外国人留学生をアルバイトで採用
日本を訪れる外国人留学生には、「日本語を身につけたい」「日本で就職したい」というのはもちろん、日本のさまざまな面に興味を持ち、中には「日本式サービス(おもてなし)」を学びたいという希望を持つ人もいます。こうした外国人留学生をアルバイトで雇い入れ、「おもてなしを指導する一方でインバウンド対策に協力してもらう」のはいかがでしょうか。
外国人留学生を雇用する際の注意点
外国人留学生をアルバイトスタッフとして雇用する際の注意点を押さえておきましょう。留学生は留学を本来の目的として訪日資格を取得しているため、アルバイトは資格外活動にあたります。そこで、雇うことができる留学生は資格外活動許可を取得した留学生に限られます。
この許可を得ている留学生は、在留カードにその記載があるか、資格外活動許可書を持っていますので、それで確認するとよいでしょう。ただし、個人情報保護等の観点から応募時にはあくまで口頭での確認とし、それらの提出は採用が内定した段階で求めるのが得策です。また、内定を出したい留学生がその許可を得ていない場合、申請して許可を得るように伝えればよいでしょう。
ハローワークへの届け出が必要
日本人の雇用と同様、労働基準法や最低賃金法が適用されますが、外国人留学生の雇用には加えてハローワークへの「外国人雇用状況の届出」を行うことが義務付けられています。また、雇用時間は週28時間まで、夏休みなどの長期休業期間中は1日8時間までで週40時間が上限になるなど、さまざまな条件があり、これに反すると罰則を科せられることになります。ハローワーク等の専門窓口で情報収集するのがオススメです。
日本語学校をはじめ、留学生を受け入れる専門学校や大学のほか、ハローワークでは外国人留学生向けのアルバイトの求人を受け付けています。まずは店の身近にある各所を訪ね、外国人留学生のアルバイト募集を始めてみましょう。
66カ国の言語に対応した求人・採用特化型検索サイト「Indeed」も是非活用してみてください。
アルバイト留学生をインバウンドに活用
外国人留学生をアルバイトで採用したら、あるいはすでにアルバイト留学生を雇用していたら、さっそくインバウンド対策に協力してもらいましょう。
まずは、店内のメニューをはじめPOPや店外の看板等に外国語の表示を加えること。アルバイト留学生の母国語を使い、例えば中国人留学生であれば中国語、韓国人留学生であれば韓国語で表示し、それぞれの言葉に対応していることをPRできます。そして、接客時にはアルバイト留学生に通訳を依頼することが可能となります。
取り組みはじめは積極的に行うのではなく、徐々に少しずつ対応していくことがポイント。これは、アルバイト留学生が身につけている日本語能力と店に対する理解度の度合いにもよりますが、店とアルバイト留学生とが互いに外国人客の受け入れに対して慣れることが肝心です。また、アルバイト留学生を厨房スタッフとして雇っている場合は、通訳等でホールスタッフとしても仕事をこなせるように、訓練と体制作りが必要となるでしょう。
外国人留学生を採用するメリット
外国人留学生を採用することには、外国語が使えること以外にもメリットがあります。
それは、外国人の間で話題になるようなメニューの開発ができることです。
ご存じの通り、外国人は国によって好みの料理が異なっています。その為、日本人が美味しいと思う味付けであっても、外国人にとっては「不味い」と感じることも珍しくはありません。
先ほども伝えたように、飲食店では「どのようにして外国人客を取り込むか」というのが一つのテーマとなっているので、彼らに受け入れられる料理はお店が繁盛するきっかけにもなります。
でも、日本人が料理を作るのであれば、彼らの好みを理解することは出来ません。しかし、そこに外国人スタッフがいたらどうでしょうか。彼らの国で好まれている味付けを聞くことができますし、その意見を元に作った料理の完成度やアドバイスなども聞くことができます。
つまり、たった一人の外国人スタッフによって…
- 外国人旅行客に人気となるメニュー
- 顧客満足度をUPさせるサービスの提供
が一度に可能になるわけです。
しかも、お店のオーナーは何ひとつ手間もかかりません。
それでいてお店は良い方向に導かれるのですから、これほど楽な経営スタイルはないと言っても過言ではないでしょう。
訪日外国人客の実態と飲食店の取り組み
インバウンドを見越して、外国人留学生を採用すれば、様々なメリットを得られるのですが、そもそも、訪日外国人客の実態と飲食店の取り組みはどのようになっているのでしょうか。
ある調査によると、なんと約30%以上の飲食店が「毎日来店している」と答えています。次に多かったのが「週1回」でこれも30%程度と、つまりは60%の飲食店に頻繁に外国人が来店している現状があります。
この数字が意味するものは一体何なのか。
それは、外国人旅行客に適した環境を整えると、これだけの見込み客を店に呼ぶことが出来るということです。
また、この調査によると「来店しない」と答えた飲食店は20%ほどになるのですが、こういった店舗では、インバウンド対策が皆無となっていました。つまり、インバウンド対策をしていないから来ないだけで、インバウンド対策をすれば確実に今より売上をあげることができると考えられます。
なお、頻繁に外国人が来店しているお店は…
- 外国語メニューの導入
- 外国語を話せるスタッフの採用
- 宗教に対応したメニューを用意
- 無料Wi-Fiの提供
といった取り組みをしています。
どれも導入に難しくはないので、ぜひ検討してみて下さい。
従業員にインバウンドに対する教育を行おう
インバウンド対策の一つとして外国人留学生の採用が挙げられるわけですが、採用すれば自動的に外国人旅行客が増えるかといえば、そうではありません。飲食の店員として、彼らがしっかりとしたサービスを行わなければなりません。
以下の点を中心に教育を行っていきましょう。
対日本人に対するスムーズな対応
自分の母国語を話す外国人客が来れば留学生も対応がスムーズに行えると思いますが、店舗には日本人の方が圧倒的に多く来店します。いちスタッフとして日本人にも対応できるように、日本語でのコミュニケーションを教育していきましょう。
日本の食文化を教える
国によって文化は様々となっています。つまり、留学生の食への常識と日本の食への常識が異なっている可能性があります。極端な例とはなりますが、仮に、インド人の外国人留学生を採用してお客様にカレーを提供するとします。
日本ではスプーンを使ってカレーを食べますが、インドでは手で食べますよね。だから、こういった違いを教えていないと、彼はカレーを「スプーンを使わずに」と提供することも十分に考えられます。
こういった食の文化の違いによって、日本人客に失礼がないように、しっかりと教育を行っていきましょう。
外国人留学生でもスタッフの基本を叩き込む!
日本人のスタッフでも、仕事ができるスタッフ、そうでないスタッフがおり、後者にはしっかりと接客のイロハを叩き込んでいくと思いますが、これは、外国人旅行客でも一緒です。対外国人への対応だけでなく、接客業の基本を教えていきましょう。
SNS(YouTube、Twitter、微博等)等を活用して集客
各種の表示や接客で外国人の受け入れ準備が整いましたら、訪日外国人客の集客に力を入れましょう。日本では外国語での情報発信が十分とは言えないため、訪日外国人客の多くは、自国でのホームページやポータルサイトのほか、SNSでのレビューや口コミなどインターネット上から情報収集し、訪問する店を探す傾向が見られます。
アルバイト留学生から意見をもらおう
そこでまずは、自店舗のホームページを開設していればその外国語対応を、ホームページがなければ、コストを安く、手間をかけずに情報発信できるSNSがオススメです。TwitterやFacebookはもちろん、例えば中国では微博(ウェイボー。中国版Twitterのようなもの)が多く利用されているように、どの国のユーザーにどのようなSNSが有効なのかを、アルバイト留学生から意見を聞きながら進めるとよいでしょう。
また、情報の発信方法についても、その国のユーザーが最も関心を持ち、「フォロー」や「いいね!」などと拡散していきそうな手法を、アルバイト留学生と相談しながら検討していくことが得策です。
動画を活用してみよう
最も効果が見込める1つが動画の活用。例えば料理を紹介する場合、単に完成品の写真とその解説文を載せるだけではなく、その料理を特徴づける動画もアップしたいところ。寿司であれば寿司を握るシーン、天ぷらならば揚げるシーンといった調理シーンが良いでしょう。客が肉をしゃぶしゃぶしたり、お好み焼きやもんじゃ焼きを焼いたりするシーンなど、食べ方の特徴を動画に撮って動画投稿サイト・YouTubeなどにアップすれば、外国人ユーザーから強い関心を得られる可能性が広がるはずです。
SNSマーケティングについては「飲食店のSNSマーケティング戦略。LINE, Twitter, FB, Instagramの活用法」で説明しています。
メニューをインバウンド向けに最適化しよう!
インバウンド向けにメニューやサービスの向上を図るならば、アルバイト留学生から母国のお国柄や習慣、文化、味覚などを教わるのがオススメです。単に好みを合わせるのはもちろん、例えばイスラム教徒のムスリムは、豚やアルコール(成分として含まれた調味料等も含み)を口にすることがイスラム法で禁じられています。
ムスリムをインバウンドの顧客ターゲットとする場合は、イスラム法で合法を意味するハラールへの対応が必須となりますが、こうした情報はアルバイト留学生から積極的に入手したいところです。イスラム教といえば、サウジアラビアなどの中東地域を思い浮かべますが、実はインドネシアやマレーシアもイスラム教国家。両国とも、最近は日本への観光客が急増していますので、見逃せません。
こうした情報収集のよいきっかけづくりとなるのが、アルバイト留学生やその知人の外国人留学生を招いた試食会の開催です。使用する食材や味つけがその国の人の興味を引きそうか、1人でも多くの意見を集めることで、インバウンドでより売れるメニューの開発に役立てられるはずです。外国人留学生との人脈を広げ、彼らから母国に向けてSNSで拡散してもらうことも期待できます。
加えてPOSレジのデータを活用すれば、どの国の客がどのメニューを注文したか、どういったメニューが人気だったかを分析することでも外国人客の嗜好を分析できます。これらを駆使し、メニュー構成をインバウンド客が好むものに最適化すればよいでしょう。
顧客情報の活用方法は「飲食店の売上向上のための施策はどうやって決める? 〜顧客管理の活用事例〜」で説明しています。
まとめ
会話ができる程度に語学を学び、外国人を客として迎え入れるのも1つの方法です。しかし、私たちが海外へ行き、店を利用しようとする場合、メニューに日本語表示があり、スタッフが片言でも日本語を話せれば安心できますが、日本人スタッフがいればその安心感はさらに増すことでしょう。
また、店の利用だけではなく、その日本人スタッフから現地のさまざまな情報を入手できるのではないかという期待も抱くはず。こうしたニーズも取り込めば、口コミで評判が広がり、さらなる集客に結びつくはずです。
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