節税とは?法人ができる30の節税方法をご紹介します

開業・経営

節税イメージ

法人の利益にかかる税金は、法人税、地方法人税、法人事業税、地方法人特別税、法人住民税などがあり、これらを総称して法人税と言います。

法人の節税対策を考える時、法人自体の節税だけでなく、会社社長や役員の所得も勘案して節税を見ていくのがセオリーとされています。これから述べていく法人の節税対策には、個人の所得を含めた対策も含まれていますので、ぜひ参考にしてみてください。

節税とは

節税イメージ

節税とは、現行税法の枠内で納める税金を積極的に払うべき税金を減らすことです。節税を行うには各種の控除制度や非課税制度、免税制度などを可能な限り活用して、納める税金を減らすことができます。

節税対策の方法については、税務署から何の通達もなく教えてもくれません。知っている人だけが得をして、知らないと損をする世界なのです。不公平と思う人もいるかもしれませんが、これが実体ですので、税務署は教えてくれないということを念頭に置いておかねばなりません。

税務署に行って「税金が安くなる方法を教えてください」と頼んでも、それは無理な話でしょう。

法人向けの節税対策はたくさんありますので、知らないと余分な税金を払うことになります。従って、法人の社長は自らその節税ノウハウを予め身に付けていなければなりません。節税対策とは、重要な経営戦略でもあるのです。

節税には前提条件があります。節税を担当する役員なり社長が、会社の現状や実態を数字で正確に分っていなければなりません。つまり、試算表や、決算書の貸借対照表、損益計算書などの各科目の数値が頭に入っていることが前提となります。これが分っていなければ、節税効果の値が理解できないでしょう。節税前の正確な数値を把握してはじめて、節税後の効果が実感できるのです。

節税の種類について

節税の種類

節税にもいくつか種類があり、大きく分ければ、有益な節税と無益な節税の2つに分類されます。有益な節税についてこれからいくつか紹介しますが、まずは無益な節税からご紹介いたします。

無益な節税とは、決算で利益が出ると見込まれるため、会社の益にならないような経費を増大させることです。無計画な設備投資、明らかにムダと思われる社長や役員の高級車の購入、華美な事務所の改装、経費で海外旅行などが無益な節税に当てはまります。

会社の将来の利益につながらないムダな費用は、間違っても支出させないようにしましょう。では反対に、有益な節税にはなにがあるのでしょうか。

  1. 支出はあまりなく、節税効果が大きい対策
  2. 支出はあるが、将来的に新たな付加価値が期待できる節税対策
  3. 支出があるが、会社の質を高める節税対策

などに分類できるでしょう。法人ができる節税対策の方法はたくさんありますので、その中からいくつか、以下で紹介します。

節税対策1:未払金、未払い費用を今期の費用として計上する方法

計上イメージ

今期中に発生した費用ですが、支払いは翌期になる費用を決算時に経費として計上することができます。

これは販売費一般管理費の経費として給料や通信費、広告宣伝費、リース料、保険料、消耗品費などが該当します。中でも人件費の給与が最も節税効果が高いと言えます。

例えば、会社の給料の締め日が毎月15日で、支払い日が翌月の5日ならば、16日から月末までの給料が未払い給与となり、決算時に経費計上が可能です。

社会保険料は普通、月末締め切りの翌月末払いですから、未払い費用として費用計上することが可能です。ただし、経費計上が可能なのは会社負担分のみとされています。経費計上ができれば経費が増加し利益が圧縮されますので、税負担が減少し節税対策となるのです。

節税対策2:役員報酬

役員イメージ

次にご紹介する節税対策は、あくまで会社に利益が出ている場合の対策となります。

法人税とはそもそも会社の利益額によって決定されますが、節税対策には役員(社長など)報酬も含めて、会社の利益+役員報酬で考えなければなりません。

例えば

「会社の利益が1,000万円の予想社長の役員報酬が月に30万円で年間360万円とする。」

この場合の納税額は、法人税が約292万円、社長の所得税(所得税+住民税)が12万円かかります。合計した税金は304万円となります。会社の利益+社長の所得は、合計1,360万円です。では、同じ1,360万円でも社長の役員報酬を月に100万円、年額で1,200万円とし、会社の利益が160万円(合計1,360万円)の場合はどうでしょうか。この場合、法人税は約45万円となり、社長の所得税は約206万円になります。合計納税額は約251万円となり、差引53万円が節税となります。法人税率と所得税率が異なるために、これを上手に組み合わせることによってこのような節税が可能となるわけです。

節税対策3:別会社を設立

別会社をつくる

経営戦略上、別会社を作って運営した方が会社として明らかに将来的な利益が見込める場合のみ使える節税対策です。この方法を実施するには別会社設立の正当性が担保されないといけませんが、大きな節税効果が見込めます。

  • 資本金1億円以下の会社は、年間800万円までの所得について法人税の税率が軽減される。
  • 資本金1億円以下の会社は、年間800万円までの所得について事業税の税率が軽減される。
  • 資本金1億円以下の会社は、30万円未満の消耗品が年間300万円まで一括経費として計上できる。
  • 資本金1,000万円未満の会社の設立時、第1期目と第2期目の消費税が免税となる。(例外事項あり)
  • 別会社に役員や従業員を転籍させた時、元の会社では退職金の計上が可能となる。

節税対策4:生命保険

生命保険イメージ

一般的によく行われている節税対策の一つです。生命保険なら何でもいいというわけでなく、次の条件が必要となります。

  • 掛金が経費になること
  • 解約返戻し金が返ってくること
  • 税法改正の可能性が低いこと

こうした条件に当てはまる生命保険は各保険会社によって名称が異なりますが、一般的ながん保険や長期平準保険がこれに該当します。掛金は会社の経費となりますが、解約返戻し金は会計上収益となりますので課税されます。

したがって、何方かの退職金と相殺する方法が、有効な節税対策となります。

その他の節税対策

節税を考える女性

上記の他にも有効な節税対策がたくさんありますので、以下で簡単にご紹介いたします。

節税対策5:決算期の変更

実は簡単にできる決算期の変更。売上が前もってわかるなら、計算をして税金を多く払わないように調整することができます。やり方は「臨時株主総会」を開催し、定款変更の決議を行い、決算日変更を税務署に届ければ完了。

節税対策6:過去の赤字で現在の黒字を相殺

過去に赤字がある場合、その年から9年以内ならその赤字金額分を現在の黒字金額と相殺することができます。相殺しても赤字金額が残っていた場合、次年度で9年を超えなければ繰越しできます。

節税対策7:固定資産の見直し

固定資産は基本的に高額なものが多いので、原則として「原価償却」を用いて分割で経費化。この分割の期間を短くすればするほど、短期間で節税ができます。また「定額法」と「定率法」の二つがあり、早期で節税したい場合は「定率法」を選ぶと良いです。

節税対策8:含み損のある固定資産の売却

事業に利用していない固定資産のうち、帳簿価格よりも低い価格でしか売却できない場合、売ってしまうのも節税になります。売却損の分が経費。

節税対策9:固定資産の廃棄

事業に利用していない固定資産のうち、売れない資産は破棄しましょう。破棄した場合、帳簿価額の分だけ経費にできます。これを固定資産除去損といいます。

節税対策10:在庫品や貯蔵品の見直し

棚卸資産や貯蔵品という勘定で処理されている資産について、損切りを行うことで経費にすることができます。具体的にいうと、決算セールなどを行い値引き販売を実施。原価割れしてもいいので、とにかく値引き販売してください。値引きの総額が経費として計上できます。

節税対策11:有価証券の見直し

含み損のある有価証券がある場合、売却すれば売却損を計上できます。見込みのない有価証券は思い切って損切りしましょう。有価証券の売却損を計上するためには、相手に有価証券を引き渡した後にできるので、日にちに余裕をもって行うのがオススメです。

節税対策12:評価損の計上

売却することが難しい有価証券があった場合、有価証券評価損の計上ができます。事業の関係上、売却し難いものや倒産寸前の株の場合、この手を使うことができます。

節税対策13:社会保険料の未払い計上

給与の仕訳が難しいせいか、社会保険料(健康保険・厚生年金)を正しく処理している企業は少ないようです。健康保険と厚生年金は、当月分を翌月末に支払う仕組みになっています。正しく処理をしていくと毎月1ヶ月分が必ず未払い金になります。それを計上しましょう。

節税対策14:中小企業倒産防止共済への加入

中小企業倒産防止共済という制度があります。共済の掛金を全額経費計上することができる制度。業績不振になった場合、掛金の95%分の貸付を受けられます。生命保険の節税に抵抗があるあなたは、こちらからやってみることをオススメします。払込先が国の機関なので、安心感を持つことができるでしょう。

節税対策15:投資減税策の活用

設備投資を行った時に、通常の償却費の計算よりも多く経費計上できる「特別償却」という方法と、一定の金額を法人税額から差し引いて納税する「税額控除」があります。税額控除以下の税額が発生している場合は前者、税額控除以上の税額なら後者を選ぶと有利になります。

節税対策16:コインランドリー節税

中小企業経営力強化税制を利用した節税法として、コインランドリー節税というものがあります。コインランドリーへの投資額にうち、160万を超えるランドリー設備について初期投資の約8割を経費計上可能。

こちらの節税は個人事業主もできます。法人税率と所得税率の状況によって、法人で取り組むよりも個人で取り組んだほうが節税になる場合があります。

節税対策17:社長の自宅を買い取って節税

社長が持ち家の場合、自宅を法人で買い取ることによって節税ができます。自宅を買い取ることによって、自宅でかかっている様々な費用が経費計上することができます。固定資産税や自宅の減価償却費、修繕費、損害保険料などが対象。持ち家状態では経費計上できなかったものが、経費として落とすことができます。

しかしこの方法にはデメリットがあり、法人が家を買い取ると「社宅」扱いになるため、社長に対して家賃を取らなければなりません。

節税対策18:退職金による節税

退職金支払い時に全額経費になります。ただこの方法はコントロールしづらいので、あなたが経費を落としたいタイミングでできないところがネックです。

節税対策19:社宅規定

従業員・役員を社宅に住まわせることで、法人税の節税と従業員・役員の所得税を節税することができます。法人が支払う社宅家賃は全額経費計上可能。社宅負担金の方が社宅家賃より通常低くなるため、法人税の節税になります。

社宅負担金の計算が適法にされている限りは、社宅負担金は所得税計算に含まれないため、無税の給与支給のようになります。

節税対策20:研究開発税制

その事業年度において経費の額に算入される試験研究費の額がある場合、一定割合の金額をその事業年度の法人税額から控除することができます。この制度の対象となるのは、製品の製造又は技術の改良・考案もしくは発明にかかる原材料費、人件費、委託費など。

ただし試験研究費を他から融資を受けている時は、その融資金額分を差し引いた分が控除対象となります。税控除受けられる割合は、法人税額の20%までです。

節税対策21:小規模企業共済

中小企業経営者のための退職金制度のことで、この共済制度の掛金は全額所得税の所得控除対象となります。つまりこの掛金相当額分を役員報酬増額した場合、役員報酬の増額分は全額法人の経費となり、法人税が節税になります。

さらに小規模企業共済掛金として役員報酬から全額所得控除されるため、所得税の課税を回避することもできます。

節税対策22:確定拠出年金制度

こちらはiDeCoの法人版の制度で、「節税21:小規模共済」と同じ掛金全額が所得税の所得控除対象となります。確定拠出年金制度の場合、社会保険料の削減効果もありますので社員に加入させると節税することができます。

節税対策23:設備投資促進税制

設備投資を行うとキャッシュフローが悪化するが、景気対策として設備投資額全額が即時償却や税額控除など税制になっています。上手にこれらの施策を活用しましょう。

節税対策24:中古資産の購入

中古資産は節税効果が高いです。理由は耐用年数が短いため、償却額が高めに設定できるので早期で経費計上が可能になります。

節税対策25:雇用促進税制

公共職業安定所の所長に雇用促進計画の届け出を行えば、増加した雇用保険が保険者数1人に対して40万円が税控除できます。これらの金額や条件は年々変わるので、条件を満たせるかどうかを調べてから行いましょう。

節税対策26:所得拡大促進税制

条件を満たすと雇用者の給与支給額の増額分×10%が税控除できます。こちらもその時々によって条件が変更されるので、調べてから行うことをおススメします。

節税対策27:ゴルフ会員権評価損の計上

ゴルフ会員権には「株券方式」と「預託金方式」の2種類あります。株券方式の場合は非上場有価証券として評価を行い、決算書に従って適切に処理しましょう。

預託金方式の場合、ゴルフ場経営状態によって処理が変わります。例えばゴルフ場が閉鎖してしまった場合、貸倒損失なので損失分経費計上できます。

節税対策28:法人税の繰戻還付

赤字の場合、手続きをすると法人税を還してもらえる制度があります。この制度は「中小企業限定」で、1年前に払った税金が限度です。前年度が黒字で税金を納め、今年度が赤字の時に使えます。

節税対策29:不随費用の即時経費化

固定資産を取得する場合にかかる諸経費のうち、いくつかのものは固定資産の取得価額に含めずに即時経費計上できるものがあります。不動産取得税、事業税、建設のために行った測量・調査などの費用が即時経費計上可能なので、すぐに計上しましょう。

節税対策30:事務所・社宅の敷金、保証金の返還不能部分の償却

敷金・保証金のうち、撤去した際に返還されない部分は5年以内に償却可能です。償却金額が20万円以下の場合、一括で経費計上できます。

などがあります。一つ一つをご説明すると非常に長くなってしまいますので詳細は割愛いたしますが、いずれも節税効果の高い低いはあっても有効な方法です。上記のような方法もあることを知っておくことが重要です。

まとめ

節税

法人ができる節税対策は多岐にわたり、大変多く存在します。国が行う期間限定の減税制度や節税対策は、当然その税制の存在を知らないと恩恵を受けることができません。前述しましたように、これらの税制は各法人宛にその対策を推奨してくれるようなことは一切ありません。したがって、知っているか知らないかで、決算が天と地ほどの差が出てしまうのです。

そのため、常日頃から顧問税理士と情報の共有をしておくことが必要でしょう。決算時のみ税理士に依頼する場合は、事業主が節税目的の具体的な行動指針を作成しておき、日頃から丁寧に会計処理をしていく必要があります。節税アイテムが多いので、重点的な対策を意識して行いましょう!

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