近年、海外からの旅行者による消費(インバウンド消費)が拡大しています。観光目的で訪れる人たちに日本での楽しみについて調査した結果、「日本食を食べること(70%)」が1位にランキングされています。2位の「ショッピング(53%)」を引き離し、圧倒的な人気を示しています(2016年度 観光庁調べ)。
一方の受け入れる側も、外国人スタッフを雇用するなどしてインバウンド対策に取り組む飲食店が増えてきています。しかし、なかには就労資格のない外国人を雇用してしまい、経営者が法令違反で処罰を受けるといった事例も起きています。
そこで今回は、外国人を雇用する際に知っておくべき法令や制度、マネージメントする上での注意事項についてわかりやすく説明していきます。
外国人を雇用するメリット
旅行ではなく働くことを目的に来日する外国人も増えており、企業のなかにも積極的に外国人を雇用するところが多くなってきています。では、飲食店が外国人を雇用する場合、どんなメリットがあるかについて見ていきましょう。
- 若い労働力を確保できる
飲食業界にとって大きな悩みとなっている人手不足問題を、海外の若い人材を雇用することで緩和することができます。また、在日外国人は同じ国の人たちとコミュニティーを形成していることが多く、知り合いを紹介してもらうことが可能です。 - 外国からのお客様にスムーズに対応できる
日本語がわからない旅行者が来店したときに、外国人スタッフが母国語でメニューの説明をしたり、お客様のニーズを聞き入れたりすることができるため、おもてなしの心をより強く印象づけることができます。 - 職場内が活性化する
外国人労働者には積極的で仕事熱心な人が多く、ともするとマンネリ化しやすい職場を活性化する役目を果たしてくれることがあります。また、日本人スタッフも彼らと日々接することで、外国人に対する苦手意識が弱まるという効果があります。これはインバウンド対策の面からも大きなメリットといえます。 - 外国の料理を学ぶことができる
そのスタッフの郷土料理、自慢料理などを教えてもらうことができます。それによっていろいろな食材やスパイスなどの使い方を知り、メニューのバリエーションを増やすことができます。
このように外国人スタッフは、単なる働き手としてだけでなく、日本と外国をつなぐ架け橋のような存在であることを認識しておきましょう。
外国人を雇用する際の注意点
外国人の雇用を検討する場合は、どのような法令・制度があるのかを理解する必要があります。日本に中長期間在留する外国人は「在留カード」という身分証を所有しています。そのカードには在留資格と在留期間が記載されています。在留資格は一般に「就労ビザ」と呼ばれるもので、このビザによって日本で就労できる人とできない人に分かれますから、まずビザの種類を確認しなければなりません。
飲食店で就労できるビザ
- 「永住者(在留期間が無期限)」「日本人の配偶者等」「永住者の配偶者等」「定住者(日系人や中国残留孤児などで在留期間は有限)」のいずれかのビザをもつ外国籍の人は、就労に関する制限はなく、日本人と同様に飲食店で働くことができます。
- 飲食店で調理の実務経験が10年以上あり、調理師(コック)として働く目的で「技能」のビザを取得している人は就労できます。なお、調理師のような専門性を必要としない接客業に該当するビザはありません。
- 飲食店の経理や営業などを担当する場合は、「技術・人文知識・国際業務」というビザを取得することで就労できます。
- 来客に外国人が多く、日常的に通訳を必要とする店舗の場合は、「技術・人文知識・国際業務」のビザで通訳として就労できる可能性があります。
「資格外活動許可」が必要なビザ
- 大学、日本語学校、専門学校などで学ぶために「留学」のビザをもつ人は、管轄の入国管理局で「資格外活動許可」を得ることで接客の仕事に就くことができます。 コンビニや居酒屋などでアルバイトをする留学生にこのパターンが多いものですが、許可を得ても1週間に28時間以上の就労は禁じられていますので注意が必要です。 そもそも留学生が働くことは、在留資格の主旨から外れるため、アルバイトをするにしても許可を得る必要があります。
- 在留資格を有する人に扶養されていて「家族滞在」のビザをもつ配偶者や子供も、上記の留学生と同様に就労が目的で滞在しているわけではないので、働くには「資格外活動許可」を得なければなりません。
雇用が禁じられているビザ
観光旅行が目的の「短期滞在」や、日本の文化について研究することなどを目的とする「文化活動」のビザをもつ人を雇用することは禁じられています。 よく宿泊代が払えなくなったので清掃などの実労働で精算するといった話を聞くことがありますが、旅行者が「短期滞在」のビザをもつ外国人だった場合、就労資格のない人を働かせたということで、ホテルの経営者は「不法就労助長罪」で逮捕されることがあり得ます。飲食店でも似たようなケースが起こる可能性がありますから気をつけたいものです。
外国人を採用したらどうしたらいい?
在留資格を確認して面接も終え、採用することが決まったら仕事内容や時給、勤務時間、休日など労働条件について話し合い、双方の合意のもとで雇用契約を締結するようにします。文化や言葉の違いで意思の疎通がうまくいかず、ささいなことが大きなトラブルに発展することがありますから、雇用契約書は採用した時点で取り交わすことが大切です。
また、日本語をどの程度話せるかを確認することも重要です。1か月程度の試用期間を設けて日本語力や仕事の適性などを見極めて、正式に雇用するかどうか判断するようにしましょう。ただし、試用期間といっても雇用契約を結んだあとですから、簡単に解雇することはできませ ん。仮に日本語が理解できなくて勤務態度もよくないので解雇するという場合でも、1か月前に解雇予告をするか、平均賃金の30日分以上を解雇予告手当として支払う義務があります。
正式に雇用することが決定した場合は、労働者の氏名、在留資格、在留期間などをハローワークへ届け出ることが義務づけられています。離職する際も届け出が必要です。届け出を怠ったり、虚偽の届け出をした場合は処罰の対象になります。
外国人を雇用した場合の受け入れ態勢を整えておこう
スタッフとして受け入れる際は、ハウスルールや仕事のマニュアルを当人のわかる言語で作成しておきたいものですが、それが難しい場合は、日本語にルビを振っておき、何度か読み聞かせもして覚えてもらうようにしましょう。
仕事に慣れるまではだれでもストレスがたまるもの。これまでとまったく違う環境で働く外国人スタッフはストレスフルの状態になりがちです。 現場で仕事を教えるときも、マニュアルの該当箇所を指で示したり、ジェスチャーを交えたりしながら一つひとつていねいに進めていくようにしましょう。
実は外国人スタッフの離職率も高く、それも入店1~2か月目に辞めていくケースが最も多いというデータがあります。せっかく雇用したスタッフに長く働いてもらうためには、早い段階で文化や国民性のギャップを埋める教育を行い、店の雰囲気に溶け込んでもらうことが大切です。
まとめ
いかがでしょうか。
これまで見てきたように、外国人を雇用するには入国管理法についての知識が必要です。入管法も読みにくい条文やわかりにくい表現が多く、一般の人にはなかなか理解しきれません。より詳しく知りたいという方は、入国管理業務を専門とする行政書士や弁護士などに相談することをおすすめします。
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