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日頃、簿記という言葉はよく耳にし、何となくわかっているつもりなのですが、「具体的にはどういうこと?」と聞かれると、なかなか上手く答えることはできないものです。そして簿記には単式簿記と複式簿記があり、実は結構複雑です。
今回はその複式簿記と単式簿記について、わかりやすく説明していきます。
そもそも簿記とは?
簿記とは、企業規模の大小や業種・業態を問わずに、日々の経営活動を記録・計算・整理して、経営成績と財政状態を明らかにする技術だと言えるでしょう。簡単に言いますと、「帳簿と呼ばれるノートに、お金や財産に関する取引の記録をつけること」で、家計簿やお小遣い帳で見られるような、なじみのある方法です。
それをわかりやすい例でをあげると、ある果物店が100円でミカンを仕入れた場合、
- 100円分のミカンを仕入れたこと
- 100円分のお金が減ったこと
を帳簿に記録します。
日頃、私たちが目にする多くのお店は、簿記をすることによってどのくらいの財産があるのかと、いくら使っていくら儲けたのかを正しく把握しています。そして、その簿記には「単式簿記」と「複式簿記」の2つがあります。
単式簿記について
単式簿記は取引を1つの科目に絞って記載する方法で、損益計算(収支計算)のみを行う方法です。たとえば、現金だけの動きに絞った帳面の例をあげてみます。
◆単式簿記の帳面
日付 | 摘要 | 収入 | 支出 | 残高 |
---|---|---|---|---|
10月1日 | 前月より繰り越し | 50,000円 | ||
10月10日 | 電気代の支払 | 15,000円 | 35,000円 | |
10月20日 | 預金から引き出し | 100,000円 | 135,000円 | |
10月30日 | 取引先と会食 | 30,000円 | 105,000円 | |
このように、単式簿記は「いくらお金を使って、いくらお金が入ったか」というようなシンプルなもので、普段われわれが使っている銀行の預金通帳も単式簿記で表記されていると言えます。
単式簿記はこのように、非常に容易に記録することができる反面、どのようにしてお金が使われたのか、またお金の出どころがどこであるかのかがわかりにくいといった難点があります。要するに単式簿記の場合、財産の状態がどうなっているのかがわからないわけです。
複式簿記について
会社では単式簿記ではなく、複式簿記を使います。複式簿記は取引を複数の科目で記載する方法であり、損益計算と財産計算を同時に行う方法です。お店や会社は日々簿記をすることによって、1年に一度、貸借対照表と損益計算書を作成します。これが簿記の最終目的です。
- 貸借対照表:どのくらい財産があるのかを明らかにした表
- 損益計算書:この1年間で、いくら使っていくら儲けたのかを明らかにした表
また記載する際は、
- 「借方」:貸借対照表の左側(資産)、損益計算書の左側(費用)
- 「貸方」:貸借対照表の右側(負債・純資産)、損益計算書の右側(収益)
となります。
◆複式簿記の帳面
日付 | 借方 | 収入 | 貸方 | 支出 | 摘要 |
---|---|---|---|---|---|
10月10日 | 水道光熱費 | 現金 | 15,000円 | 電気代の支払 | |
10月20日 | 現金 | 100,000円 | 普通預金 | 預金から引き出し | |
10月30日 | 接待交際費 | 現金 | 30,000円 | 取引先と会食 | |
複式簿記では、取引の二面性を表せます。上記の例で、現金で電気代を支払った場合、経費が増える(費用の増加)、現金の減少(資産の減少)の二面性を借方・貸方という形で左右にわけて表すのが複式簿記です。
以上のように、複式簿記は非常に複雑であり、様々なルールがありますが、その反面お金の流れをイメージしやすいといった特徴があります。
単式簿記は何に使ったかと残高を記入していく家計簿をつけるようなものですが、一方、複式簿記は家計簿の他に財産目録と借金の明細も作るようなイメージです。
複式簿記と単式簿記どちらを選べばよいの?
個人事業での帳簿づけの方法を所得税の申告方法別にみると、以下のように分かれます。
- 白色申告と青色申告10万円控除では、簡易な方法による記帳が認められていて、単式簿記で可となっています。
- 青色申告で65万円控除を受けるためには、いわゆる正規の簿記による記帳が必要で、複式簿記で帳簿付けをします。
さて、税金の申告に際しては、誰しもできるだけ多くの控除を受けたいと思うものです。種別で言えば、青色申告で65万円控除ですが、そのためには複式簿記を行わなければなりません。しかし、「えっ!複式簿記なんて難しそうで、とても無理。」とお考えになるかもしれません。
実際、過去に簿記をかじった経験のない方が手作業で複式簿記をこなせることを目指すとなると、たやすいことではないでしょう。「それならいっそ税理士さんに丸投げしようか。そうすれば本業(生産や営業)に集中できるし……」といった考えが浮かぶかもしれませんが、開業後日が浅くコストを極力抑えたい状況ではそれもおいそれとはできません。
そこで便利なのが会計ソフトです。今や会計ソフトの利用がそ当たり前になっているようにも思います。一番普及率が高い会計ソフトはかなり進化しており、短時間で習熟が可能なレベルになっています。まだ業務量が比較的少ない時期ならば尚さらお勧めです。会計ソフトを使えば、日々発生する取引をひたすら仕訳(借方と貸方に分けること)入力するだけでいいのです。あとは必要な帳簿は会計ソフトが自動作成してくれます。
まとめ
いかがでしょうか。
単式簿記はともかくとして、複式簿記はこれまで簿記に携わったことがない方にはなかなか理解しづらく、モノにするには時間がかかります。したがって、入口段階の理屈だけはしっかり押さえて、実務は会計ソフト導入で進めて行くのも一手です。
会計の基本である単式簿記、複式簿記の知識を身に付け、店舗経営へ役立てていけるようにしましょう。
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