FLコストやFL比率は、飲食業を営む人にとって無視できない要素です。居酒屋やカフェ、レストランなど、さまざまな飲食店において重視したい経営指標となります。FLコストの重要性や計算式、適正値の目安などを覚えておくと、コスト削減のために打ち出したい施策が見えてくるはずです。今回は、経営者が意識しておきたいFLコスト・FL比率の基礎知識や、費用の削減を狙う方法などをご紹介します。
FLコスト・FL比率の基礎知識
FLコストやFL比率には、どういった意味があるのでしょうか。最初に、用語の意味や計算方法、適正値の目安などを押さえておきましょう。
FLコストとは
FLコストとは、飲食店における食材費と人件費を足した金額のことです。FはFood cost(食材費)、LはLabor cost(人件費)を表します。
食材費と人件費は飲食店経営において特に大きなコストになりやすい点が特徴です。適正なFLコストを計算し、コントロールしていくことが重要となります。
FL比率の求め方と適正値
FL比率とは、全体の売上高におけるFLコストの割合のことです。売上に対して、食材費と人件費がどれくらいの割合を占めているかがわかります。
FL比率は「(食材費+人件費)÷売上高×100」で算出できます。自店舗の材料費や従業員への給与などを集計し、FL比率を計算してみましょう。
一般的に、FL比率は60%未満に抑えたほうが良いとされています。さらに、50%前後であれば理想的といわれています。コスト管理の徹底やコストダウンの工夫をしなければ、達成するのは難しい場合も。特に、最低賃金が徐々に上がっていることから、人件費率はアップしやすい傾向にあるといえます。
ただ、適正なFL比率は店によって異なります。上記の数値は、あくまでも目安と考えておくと良いでしょう。優良店の数値を調べて比較し、自店舗にとって適切な比率を判断することもおすすめです。
FLコストと営業利益率の関係性
営業利益率とは、売上高における営業利益の割合を指します。「売上総利益(粗利)-販売管理費」で求められるため、計算してみましょう。
飲食店経営を軌道に乗せるにはFLコストを抑えつつ営業利益率を上げることが重要です。FLコストが高くなりすぎると、いくら売上が上がっても利益が少なくなるためです。営業利益率についても把握し、経費削減に努めましょう。
【参考記事】
賃料を加えたFLRコストという考え方
FLコストに賃料(Rent)を加えた合計金額のことをFLRコストと呼びます。食材費と人件費だけではなく、店の家賃も含めて指標とする際に使います。
賃料の比率は10%までに収めることが目安とされます。ただ、出店戦略によっては、集客のために家賃の高い場所へ店を出すこともあるでしょう。家賃の比率が高くなる場合、人件費や食材費を抑えてバランスをとる方法もあります。自店舗に合うコスト削減方法を検討しましょう。
FLコストとFL比率を下げる方法:食材費を抑えるコツ
FLコストやFL比率を下げるためには、何らかの方法でコストカットを図ることが大切です。こちらでは、FLコストの“F”にあたる食材費を削減するコツをご紹介します。
食材の仕入れ原価を下げる
仕入れ先の見直しや、食材自体の変更などで原価を下げることができます。例えば、野菜の場合は卸業者を介さず農家と直接契約する方法もあります。使用する食材ごとに、仕入れ値を削減できるポイントがないか調べてみましょう。
また、歩留まりを考慮した原価率を計算することが大切です。歩留まりとは食材の可食部分の割合のこと。例えば、2kgの肉を仕入れたとき、提供できない脂身が200gある場合、歩留まりは1.8kgとなります。食材によっては、実際に料理として提供できない部分が生じることを加味して原価管理しましょう。
ただし、コストを抑えることに注力しすぎて料理の味が落ちないよう注意が必要です。顧客満足度を低下させないよう、価格と味のバランスを意識することが求められます。
食材の廃棄率を下げる
食材ロスを可能な限り防ぐことで、食材費の上昇を抑えやすくなります。無駄な仕入れをしないように在庫管理をしっかりと行い、具体的な予測を立てて仕入れ量を決めると良いでしょう。
メニュー構成を見直す
コストが多くかかっているメニューの提供を見直すことで、食材費を抑えられることがあります。メニューを再考し、費用を下げられるところがないか検討してみましょう。
また、同じ原材料から作れるメニューを増やせば食材をより効率的に使えるようになります。ロスが減ることにより、食材費を抑えられるためです。メニューを決めるときは、複数の料理やドリンクに同じ材料を使えないか考えてみましょう。
FLコスト・FL比率を下げる方法:人件費を抑えるコツ
人件費を下げることは難しいように思えますが、効率的なシフトを組み、業務を改善することによって実現できる可能性があります。以下でご紹介する方法を試し、人件費削減に取り組みましょう。
店の混み具合に合わせてシフトを組む
顧客の少ない時間帯はシフトに入るアルバイトや社員を減らして人件費を削減します。ただスタッフを減らすだけでは混雑する時間帯に対応できません。来店が多い時間帯は人員配置を重点的に行いましょう。
来店に関するデータの収集や蓄積、分析は、POSレジを活用して実施できます。会計機能のほかに顧客管理機能や売上管理機能などが搭載されているためです。サービスレベルを安定させながら人件費を削減するため、POSレジを有効活用しましょう。
動線を見直してオペレーションを改善する
少ない人員でも効率的に働けるよう、作業動線を改善してみましょう。動線をスムーズにすることで、少ない人員で多くの作業をこなしやすくなります。移動距離を減らすことで従業員も疲れにくくなり、より効率的に働けるようになるはずです。調理スペースをコンパクトにまとめる、ウェイターが動きやすいように座席の配置を見直すなど、改善できることがないか調べてみましょう。
システムやツールの導入で省力化を図る
システムで自動化できる業務を増やすことで、人件費削減を実現できます。POSレジや経理ソフト、予約管理システムなどを導入してみましょう。これまで時間がかかっていた事務業務を減らせると、料理や接客などに集中しやすくなるのもメリットのひとつです。
飲食店の場合、顧客自身がタブレットやスマートフォンなどから注文できるシステムも活用すると良いでしょう。ウェイターの接客にかかる工数を減らし、業務効率向上につなげられます。
【参考記事】
FLコスト・FL比率を下げるためにPOSレジを活用しよう
FLコストやFL比率を下げ、営業利益率を上げることができれば、安定した経営を続けていくことができます。コストカットできそうな部分を探し、必要であればシステムやツールを導入して効率化を目指しましょう。
FLコスト・FL比率を下げるためには、POSレジがあると便利です。飲食店開業に際してPOSレジを探している、もしくは従来のレジから使いやすいレジへの変更を予定している事業者様は、ぜひ「ユビレジ」もご検討ください。iPad端末にインストールして使えるユビレジなら、初期費用を抑えて導入できます。飲食店向けの「ユビレジ ハンディ」「ユビレジ QRオーダー&決済」「セルフオーダーシステム」などのオプションも充実。まずはお気軽にお問い合わせください。