客単価アップで売上をあげよう!クロスセル用メニュー開発のコツ

飲食店

クロスセルメニューのハンバーガー

飲食店の売上の公式は「来店数×客単価=売上」です。したがって、売上を上げるためには集客力をアップさせて来店数を増やすか、何らかの方策で客単価を上げるしかありません。客単価を上げる最も簡単な方法な「値上げ」ですが、しかしこれは失敗すると、来店客の不満を生み、来店数を減らして逆に売上ダウンを導いてしまう危険性があります。

そのようなリスクを負わずに何とか客単価を上げる工夫をすることが大切です。その方法の代表的なもののうちの2つが「アップセル」と「クロスセル」という手法です。

ここではそのうちの「クロスセル」に絞って、それがどういう手法なのか、飲食店で実施するにはどうしたらよいのか、そのためにはどういうメニューが必要なのか、といった点についてご紹介します。

そもそも客単価をあげるクロスセルとは何か?

クロスセルメニュー例1

クロスセルとは元々は「物販ビジネス」の用語。アップセルとの違いは?

クロスセルもアップセルも、もともとはアメリカで考案された、スーパーなどの「物販ビジネス」でのマーケティング用語です。それを定義的にいうと、

  • クロスセルとは、購入した商品やサービスと関連するものを併せて購入してもらう営業活動のこと
  • アップセルとは、購入した商品やサービスを、よりグレードや価格の高いものに変更して購入してもらう営業活動のこと

です。

1番有名なクロスセルは、あるアメリカのスーパーで、果物売り場のいちごの隣に、本来は調味料売り場に置かれていたコンデンスミルクを一緒に並べたところ、両方の売上が倍増したという例です。

飲食店で効果のあったクロスセルの例

ではこれを飲食店で例にとってみましょう。

もっともわかりやすい例は、ファーストフードのハンバーガーショップに行ってハンバーガーを買った時に、

「ハンバーガーと一緒にポテトもいかがですか?」

と言われることでしょう。

これはかなり単純なクロスセルの事例なので、もう少し戦術的に工夫したもので挙げると、同じくハンバーガーを買った時に、

「ドリンク、ポテトのセットの方がお得ですがいかがでしょうか?」

と言って、ハンバーガーにドリンクとポテトがついたセットをすすめられる場合です。

前者の場合は、笑顔ではあるものの、単純に「押し売りされた」だけのクロスセルですが、後者の場合は、来店客にとってはまず3つを別々に買うよりも安くなるというメリットがあり、店側にとっては、その結果客単価が上がるというメリットがある、いわば「Win-Win」の関係が成り立っています。来店客の不満にもならず、成約率も高くなります。本来目指すべき、クロスセルはそのようなものです。

ちなみに、同じように飲食店でのアップセルの例を挙げておくと、「ミックスピザのMサイズ」を注文した場合に、

「4名様ならLサイズの方がお得ですがいかがでしょうか?」 とすすめられるケースです。

これも来店客にも店側にもメリットがある「Win-Win」の関係が成り立っています。

つまり、客単価を上げるうえでは、顧客に不満が出てしまう「単純な値上げ」や「単純な追加注文推奨」ではなく、アップセルにしてもクロスセルにしても、このような「Win-Win」が成立していることが重要です。

クロスセルメニューの選定・開発の考え方

クロスセルメニューのラーメン

では、そのクロスセルを実際に店舗で行う場合、追加でおすすめできるメニューをどのように決めればいいのか、あるいはどのように新たに開発すればいいのかすればよいのか、といった点のヒントをご紹介します。

  1. 個伝票やPOSデータを確認

    1番クロスセルが成功しやすいのは「すでに一部の来店客が、一緒に注文しているメニュー」をすすめる、ということです。店側は気づいていなくても、食べる側にとってはすでに「併せて食べるとおいしい」などのメリットがあると証明されているようなものだとも言えますから、すすめられて食べた人も満足してくれる確率は高いです。

    そのメニューの組み合わせを見つけるには、オーダーをとっているホールスタッフが気づく、ということが最もアナログな方法です。そのような観察結果がホールスタッフから上がってきた時には、個伝票を集計してみて、本当に1テーブルでその2つのメニューが一緒に注文されていることが多いかどうかを確認することになります。

    ただし、これは本当にアナログな方法なので、ホールスタッフにそこまで勘のいい人がいるかどうかが分かれ目になってしまいます。

    そこでこれをもう少し確実に行うためには、POSシステムを導入するのがよいでしょう。POSシステムのサービスによって異なりますが、よく一緒に注文されている商品のデータがでるPOSシステムも存在しまのでぜひ活用をおすすめします。

    また、そのような機能がなくてもPOSの分析システムから、テーブル単位での注文メニューをCSVデータなどでダウンロードし、分析を行うこともできます。

  2. セット化によってクロスセルを誘導する

    2つめは「ハンバーガーセット」と同じように、一緒に注文しやすそうなメニューをセットで用意しておき、単品を2つ頼むよりは多少安い価格設定をして、注文の誘導を図ることです。これであれば、メニューにさえ載っていればお客様側から気づいて注文してくれる可能性がぐっと高まります。たとえば

    • ラーメンチャーシューセット
    • キムチ味違い3種盛りセット

    などがそれになります。また少し違いますが、ランチメニューなどのコース化も幅広い意味ではクロスセルです。それをさらに進めるのであれば、ランチタイムの後にティータイムを設けてデザートとコーヒーのセットを出す、というように営業内容を増やすというのもクロスセルの1つでしょう。

    あるいは、「飲み放題1500円」なども、料理にドリンクのクロスセルをかけるという意味で同じようなものだと言えます。

  3. 味のグレードアップ、味違い提案

    1つの料理でいろいろな味が楽しめるような提案も、クロスセルには適しています。たとえば、「3つの国の味が楽しめるドレッシングセット」などを低価格で出せば、サラダの注文と一緒に注文される可能性が高まります。

  4. 一緒に食べると価値の上がるもの

    3と似ていますが、一緒に食べると両方の味が一層引き立つという組み合わせもよいでしょう。ある焼肉店では、焼肉と一緒に白ご飯が注文されることが多かったのですが、ここに、韓国のりや生卵、そしてワサビなどをトッピングしたご飯を「焼肉が美味しくなるご飯」として、白ご飯よりも多少高い金額で投入したところ、注文率が上がり客単価がアップした例もあります。

    このような組み合わせは、本来のメニュー開発ほど専門性は要りませんので、従業員やアルバイトにコンテスト形式で提案してもらってもよいでしょう。

  5. 意外な食べ方提案

    一見一緒に食べることが想像できないような組み合わせでも、「実は非常に美味しい」などという提案も興味を惹きます。それが本当にさらに美味しくなれば、かなりの効果があるでしょう。

    これも東京中心に展開している焼肉店の例ですが、焼肉と海産物のウニを併せて食べる、という提案が意外な美味しさで人気です。これも、焼肉に一緒にたべるウニを低価格でつけられるようにすれば、かなりの注文が稼げる可能性があります。

クロスセル成功のポイント

クロスセルメニューの例

クロスセルは、その組み合わせがお得・メリットがあるとお客様自身で理解している「顕在化しているニーズ」にフィットしていれば、メニューに載せるだけで注文が増えます。しかし、その組み合わせの「新しい味わい」「実は美味しい組み合わせ」「よく計算すると得になる」などの「顕在化していない」メリットを訴求する場合は、店側から何らかのアクションを起こすことが成功のポイントです。

その方法には以下のようなものがあります。

  1. 価格が「Win-Win」であること

    値決めも幅広い意味では店から行うアクションの1つです。具体的には、すでに触れましたが「一緒に注文する得になる」という顧客メリットをきちんと価格的に実現させて、それによって「Win-Win」にするということです。

  2. 推奨のための販促物

    クロスセルしたいメニューは、メニューブックに載せておくだけでは訴求力が弱いです。たくさん種類があると効果は期待できなくなりますが、2~3種類の組み合わせのクロスセルメニューをテーブルPOPなどで訴求するようにしましょう。可能であれば、ポスターや店内掲示でもそれを行うことがおすすめです。

  3. ホールスタッフによる推奨

    また、ホールスタッフがオーダーテイクの段階で、クロスセルを推奨することも大きな力になります。たとえば、一方の商品が注文されたときに、クロスセルのメニューを提案することです。ハンバーガーのセットメニューのおすすめを、テーブルでその都度行うようなものです。

    ただし、この場合は、そのメリットが価格の問題であれば説明しやすいですが、それ以外の味わいなどの問題の場合は、個人個人に任せると、そのスタッフの能力によって注文率が変わりってしまいます。

    それを避けるには、事前に簡単な「推奨トーク」を作り、どういう時にこれを伝えるのか、ということと一緒にロールプレイングなどでスムーズにおすすめできるようにしておくことも重要です。

  4. ポーション変更

    クロスセルのセットメニューを作ってその価格を各単品の合計よりも下げた際、基本は注文数が増えれば原価「率」は上がっても、粗利「額」は増えます。

    経営としては十分プラスですが、原価率も維持したいと考える場合は、多少ポーションを触りましょう。 つまり、セットにした場合、お客様に分からない範囲で各皿のポーションを若干減らす、ということです。

    露骨な例をあげると、ラーメン店のラーメンと餃子のセットにおける餃子の数です。単品では8個のものがセットの場合は6個になっている、という場合がほとんどです。セット内容によってどのような量にするかが重要となります。

まとめ

クロスセルメニュー例2

いかがでしょうか?

来店するお客様が劇的に増えるような新メニューや、大々的な集客プロモーションのように、これによって大きく売上がアップすることはありません。

しかし客単価が50円上がるだけでも、業績的にはかなり変わる店舗が多いのも事実です。お客様が思わず注文したくなるようなクロスセルメニュー、あるいはそう言われたら頼んでみたいと思わせる販売促進を行い、客単価を上げ売上を伸ばしましょう。

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