コーヒーの種類を知ろう!ブレンド、アメリカンの違いとは?抽出方法や産地ごとの特徴なども解説します。

飲食店

三種類のコーヒー

コーヒーの種類である「アメリカン」「ブレンド」などの違いについて説明できますか?コーヒーとひと言でいっても、豆や抽出方法が変われば味わいも様々。そのため、数ある種類ごとの違いを正しく把握するのは難しいですよね。

そこで今回は、コーヒーの種類、抽出方法、飲み方の知識をご紹介いたします。この記事を参考に、お客様に最高の一杯を楽しんでもらえるようにオススメを強化していきましょう。

コーヒーとはどんな飲み物なのか

ドリップされたコーヒー

家でお湯を注ぐだけであったり、コンビニで100円出せばボタン一つで気軽に飲めてしまうコーヒーですが、液体になる前はどのような姿形をしているのかを考えたことはあるでしょうか。コーヒーは、コーヒーノキという常緑樹に実をつけるコーヒーチェリーの種、「コーヒー豆」を原材料とします。コーヒーの品種は大きく分けてアラビカ種、カネフォラ種(ロブスタ)、リベリカ種があり、そこから枝分かれして、さらにたくさんの品種が存在します。

完熟した実から種を取り出し洗って乾燥させ「生豆」と呼ばれる状態に精製します。その生豆を適度に焙煎したものを粉砕して粉状にします。そこにお湯や水を注いで抽出したものが、コーヒーだというわけです。コーヒーは、赤道を挟んで北緯25度、南緯25度までの間のコーヒーベルトと呼ばれる限られた地域で栽培され、主に寒暖差の激しい山で育ちます。そのため、機械が入れないような急斜面などを利用して育てる必要があるので、人の手が欠かせません。

近年の日本では、目が覚めるような酸味や花のような香りが特徴の、浅煎りのコーヒーが飲まれるようになりました。これまでの深煎りコーヒーとは一味違ったコーヒーが、日本でも浸透してきたのです。

コーヒーの起源は諸説ありますが、その一つはシェーク・オマールの伝説です。13世紀頃にイスラム教徒シェーク・オマールが赤い身をついばみ陽気にさえずっている鳥を見つけ、その鳥が食べていた赤い実を煮出しスープにして飲んだことが始まりとされています。

日本へは江戸時代に長崎へ訪れたオランダの商人が日本に広めたという説が有力です。漢字では「珈琲」という表現の他に「加否」と記されることもありました。「銀ブラ」や「スターバックスコーヒー」などのコーヒーチェーン店の流行や「サードウェーブコーヒー」など、ここ数十年間だけでも3回のコーヒーブームが起こっています。店内に焙煎機を置いて自家焙煎を行うロースタリーカフェも増えてきています。

ブレンドとアメリカンの違いとは?

ブレンドは、複数のコーヒー豆を混ぜて淹れたものです。原産地や品種など、さまざまな種類の中から相性の良いコーヒー豆を使用して作られます。もちろん、ブレンドする人や店によって味が変わります。お店独自のオリジナルブレンドを作ってみるのも面白いでしょう。

アメリカンコーヒーは、薄いコーヒーというイメージが強いですが、実際はイメージとは真逆のコーヒーです。ブレンドとの違いは焙煎の濃さです。アメリカンはブレンドで使う豆より浅めの焙煎度合いのため、ブレンドのような苦みやコク、液体の黒さがありません。

似た名前のカフェ・アメリカーノは、エスプレッソをお湯で割ったものを指し、アメリカンとは違うコーヒーとなります。

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コーヒーの種類を理解しておくべき理由

抽出しているコーヒー

コーヒーについて、多くの人は「黒くて苦い飲み物」「コクがあってどっしりした味わい」などというイメージを持っているでしょう。現在は日本でも一般的な中煎りコーヒよりさらに焙煎度の浅いコーヒー豆が広まって、上質な酸味を楽しむ流れもあり、これまでのイメージを覆す味わいが登場しているのです。

コーヒーを提供する人がコーヒーの種類を理解していないと、お客様が本当に求めている味が分かりません。たとえば、コーヒーの産地などにこだわりのある方もいれば、コーヒー店で「ブレンドで」と注文する、コーヒーとはすべてブレンドした豆で抽出した飲み物だと思っている人もいます。

ここで、その産地のコーヒーはないです、ブレンドコーヒーは扱っていないです、と断ってしまうか、その産地のコーヒーの味に近い味の提案ができるか、ブレンドに近い味のコーヒーを提案できるかは、コーヒーの違いを知っているかどうかで変わります。コーヒーを理解していれば、お客様が求めているコーヒーの味に限りなく近いものを提供できるのです。

産地による味わいの違い

コーヒーは栽培される産地の土壌、標高、気象条件などにより、味わいが変化します。また、同じ生産国であっても栽培条件が変われば風味も変わってきます。
ここでは主な生産地ごとの一般的な味の特徴や銘柄をご紹介します。

コロンビア

コロンビア産のコーヒーはとてもまろやかで酸味もきつすぎず、マイルドな味わいです。代表的な銘柄ですとエメラルドマウンテンは聞き覚えがあるのではないでしょうか。そのマイルドでバランスのとれた味わいから、ブレンドのベース豆として使用されることも多いコーヒーです。

ジャマイカ

ジャマイカといえば、ブルーマウンテンが非常に有名です。ブルーマウンテンエリアと言われる限られた区画で栽培され、輸出の際も厳格な規格チェックがあり品質にもこだわっています。ミルクや砂糖を入れずブラックでも楽しめる優しく上品な口当たりが特徴です。紅茶党の方でも飲みやすいまろやかさがあります。
最高等級のブルーマウンテンNo.1は値段も高く、コーヒーギフトセットとしてもよく使われており、昔から日本人には人気の銘柄です。

ブラジル

ブラジルは言わずと知れたコーヒー生産量第1位のコーヒー生産大国です。広い国土の様々な場所で栽培がされており、それぞれ風味も違いますが、一般的には軽やかな酸味とコク、爽やかな余韻が特徴です。

エチオピア

エチオピアといえばモカが有名です。モカの名前は、コーヒーをイエメンの都市にあるモカ港からヨーロッパなど各国に輸出していたことに由来します。花を思わせる優雅で甘みを含んだ香りと上品な酸味が特徴です。

グアテマラ

ウエウエテナンゴ、アンティグアなど8つのエリアで栽培が行われている中米を代表する生産国の一つです。グアテマラにはたくさんの火山が存在しており、その火山灰土壌から良質なコーヒーが産出されています。 一般的には、フルーツを思わせるような爽やかな酸味と甘味、まろやかなコクが特徴です。

タンザニア

タンザニアといえば、キリマンジャロが有名です。キリマンジャロとは山の名前で、「輝く山」という意味があり、キリマンジャロの頂上付近にある氷河が輝いて見えることがその名の由来とも言われています。そのキリマンジャロの裾野で育ったコーヒーは、キレのある力強い酸味が特徴です。

インドネシア

インドネシアで有名な銘柄はマンデリンです。インドネシアの西側にあるスマトラ島で栽培されており、元々はマンデリン族の人々が栽培していたことからその名前がついたと言われています。スマトラ式という精製方法により生み出される独特のパンチのある飲みごたえとスパイスを思わせる香りが特徴です。

ケニア

以前はそれほど知名度がありませんでしたが、サードウェーブコーヒーの影響、スペシャルティコーヒーの人気の高まりにより近年注目されている産地です。ケニアの肥沃で水捌けの良い土壌がコーヒー栽培に適しており、その豊かな土壌から生み出されたコーヒーは、香り高くフルーティーな酸味が特徴です。

コスタリカ

コスタリカは非常に自然豊かで、自然環境保護、動物の生態系保護にも力を入れている国です。全世界からみてわずか0.03%の面積しかない国土に、地球上の全動植物の約5%が生息していると言われています。コーヒー栽培に適した火山灰土壌で栽培が行われており、フルーティーで透明感のある酸味が特徴です。

アメリカ

アメリカ
ハワイ島のコナ地区で採れる「ハワイコナ」が有名です。現地でフレーバーコーヒーなどがお土産として売られているので飲んだことがある方もいらっしゃるのではないでしょうか。華やかな酸味と程よいコクが特徴です。栽培量が少ないため非常に希少価値のあるコーヒーです。

ベトナム

ベトナムのコーヒーと聞くと、カップに練乳とコーヒーを入れて飲む「ベトナムコーヒー」を連想する方が多いと思いますが、産地としても有名で、直近の生産量(2020年)はブラジルに次ぐ第2位の生産大国です。ベトナムで生産されているコーヒーの大半はロブスタ種で、主にインスタントコーヒーや缶コーヒーなどの原料として使用されています。

コーヒーの焙煎の種類

焙煎度合いは以下の8つの段階に分かれています。豆の個性を最大限に引き出す焙煎を行うことが美味しさにつながります。

  • ライトロースト
  • シナモンロースト
  • ミディアムロースト
  • ハイロースト
  • シティロースト
  • フルシティロースト
  • フレンチロースト
  • イタリアンロースト

ライトシナモン、シナモンローストが浅煎り、ミディアムロースト、ハイロースト、シティローストが中煎り、フルシティロースト、フレンチロースト、イタリアンローストが深煎りという区分の目安になります。

焙煎後はコーヒーの酸化が進んで劣化してしまい風味に変化が出てしまうため、2週間を目処に、なるべく早めに使い切るようにしましょう。

コーヒーの抽出方法

数種類にも及ぶ抽出機

粉にしたコーヒー豆にお湯や水を注いで抽出するコーヒーですが、抽出方法は様々です。そこで、よく耳にするコーヒーの種類ごとの抽出方法についてご説明します。

エスプレッソ

豆を細かい粉にし、エスプレッソマシンなどを用いて圧力をかけて抽出する飲み物です。色が濃くて苦味が強いというイメージを持たれている方も多いことでしょう。通常のドリップに比べると量が少ないですが、使うコーヒー豆の量はさほど変わりません。短時間のうちに高圧で抽出することにより、コーヒーの一番おいしい部分を濃縮させているのです。エスプレッソの語源は、イタリア語で「急行」を意味しているとされます。また、エスプレッソを提供する小さなカップは、デミタスカップと呼ばれます。

ドリップコーヒー

透過式といわれる抽出方法を行います。コーヒー粉をカップの上に置き、上からお湯を注いだ際にコーヒーが重力により下に落ちたものです。

ハンドドリップで抽出する方法が一般的です。他には透過式のコーヒーメーカーもあります。この抽出方法は家庭でもよく使われ、一般的なものでしょう。しかし、抽出をしっかり行わなければ味わいが変わってしまうため、要注意です。

ハンドドリップではペーパーフィルターをドリッパーにセットして抽出する方法が手軽ですが、より本格的な味を堪能したい場合はネルドリップを試してみましょう。ネルの洗浄や保管方法など少々扱いに手間がかかる部分もありますが、より深いコクが感じられ口当たりが柔らかくなり味わい深い印象のコーヒーを抽出できます。

サイフォンコーヒー

フラスコと呼ばれる下の丸い部分に入れた水を沸騰させ、上部のロートと呼ばれるところでお湯とコーヒー粉を浸漬・攪拌して抽出する浸漬式の抽出方法です。ペーパードリップの抽出と比べ、しっかりとしたコクとキレを感じられます。熱源としてハロゲンランプやヒーターを使用するため抽出の様子が光に照らされ非常に幻想的な点も魅力の一つです。

フレンチプレス

プランジャーがついた専用のポットにコーヒー粉を入れ、そこにお湯を入れ飲み頃になるまでしばらく待った後にプランジャーを下げる浸漬法の抽出方法です。粉の量、湯温、湯量、浸漬時間さえ守れば、特にテクニックの要らない手軽な抽出方法です。他の抽出方法と比較してコーヒーの味がストレートに伝わってくる、飲みごたえのあるコーヒーが味わえます。

水出しコーヒー 

少し粗めに挽いたコーヒー粉を半日ほど水に付けておく浸漬法の抽出方法です。専用の器具を使い、2秒に1滴くらいの感覚で上から水を落として抽出する透過方式の方法もあります。お湯を使って抽出する方法と比べてスッキリとした飲み心地と後味が特徴です。温めてホットコーヒーとして飲むこともできますが、氷をプラスしてアイスコーヒーにするのもオススメです。

抽出方法だけでなく、カップの形状によっても感じる味覚が変化します。詳しく知りたい方はこちらの記事も参考にしてみてください。レギュラーコーヒー用にはどういう形状のカップがいいかなど解説しています。

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ミルクを入れたコーヒーの種類

二種類のカフェラテ

「コーヒーは苦くて飲めない」「コーヒーは好きだけど、カフェインが気になる」という方には、上記で紹介した方法で抽出したコーヒーに、ミルクを加えるのがおすすめです。

  • カフェラテ……エスプレッソに泡立てたミルクを入れたもの
  • カプチーノ……カフェラテより泡の比率を多くしたもの
  • カフェオレ……リップコーヒーに牛乳を入れたもの

専門店やコーヒーチェーン店で提供されている「カフェモカ」は、エスプレッソにミルクとチョコレートを加えたものなので、子供にも飲みやすく人気です。このように、コーヒーはアレンジししやすいというメリットがありますが、コーヒーの種類を知っておかなければ再現できません。コーヒーの違いを理解するということは、お客様に正しい商品を提供するために重要なことです。

カフェインレスのドリンクについてはこちらの記事も参考にしてみてください。

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まとめ

大量のコーヒー豆

いかがでしょうか?

コーヒーの味は、イメージだけが独り歩きしていることが多いため、お客様の思い描く味と商品の味が必ずしも一致するとは限りません。ひとりひとりのお客様を満足させるためにも、提供する側がしっかりとコーヒーの違いを知ることが大切です。

コーヒー豆や抽出方法を理解すれば、豆や道具が違っても、その味に似たものを再現できます。自分自身がコーヒーを知れば、お客様に新しいコーヒーの楽しさを知ってもらえるかもしれません。お客様のイメージ通りのコーヒーを提供できるように、コーヒーのことを深く知ってみましょう。

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