かつては居酒屋に行けば「まずはビール!」がいわば常道でしたが、最近ではカクテルを頼む人が増えています。さらには、一見料理と合わないのでは?と思えるような甘いカクテルを注文するお客様もいます。
一方でカクテルはビールなどに比べて原価を抑えて作ることができ、飲食店側にとってもメリットの多いドリンクメニューです。この両者の条件を考えると、居酒屋であってもカクテルメニューを入れていくことが今後は必要だと言えるでしょう。
そこでここでは、居酒屋でも提供可能なカクテルレシピを10種類ご紹介します。
「居酒屋でカクテル」は今や常識
まずそもそもなぜカクテルが人気なのでしょうか?以下のような調査があります。「カクテルをよく飲む場所」という問いに対する答えです。
- 1位 自宅 71.0%
- 2位 居酒屋 36.0%
- 3位 バー 23.2%
- 4位 レストラン 11.4%
- 5位 カラオケ 8.3%
カクテル=バーのようなイメージがありますが、今や居酒屋の方がよく飲まれているのです。逆に言えば、居酒屋でカクテルを頼むことは、もはや当たり前のアルコールの注文方法だと言えるでしょう。当然、デートの時やあるいは宴会の時の店選びの基準としても、カクテルがあること、種類が多いこと、美味しいことが条件になってきます。
居酒屋を経営している方はカクテルの導入に踏み切る必要があるのです。
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そもそもカクテルとは
ここでせっかくの機会ですから、まずカクテルについて知識をつけましょう。
カクテルはもともとアメリカで創作されました。ジン、ウイスキー、ブランデー、ウォッカ、ラムなどの蒸留酒、シャンパン、シェリー、ベルモットなどの醸造酒をベースに苦み剤(ビタース) 、シロップ、ジュースなどをレシピに合わせて混ぜ、それを攪拌して作るものです。つまり、上の条件さえ整えばすべて「カクテル」になるため、オリジナルメニューが比較的簡単に作れます。その結果現在、名前が知られているカクテルだけでも3000種をこえるといわれています。
カクテルのジャンルは大きく分けるとカクテルは2種類になります。
そのうちの1つはショートカクテルと言われているもので、70ml程度の容量の小さな足のついたカクテルグラスに入れる、強めの酒を使った氷を入れないカクテルです。ですから度数は20%を超え、少しづつ飲むものです。だいたいの場合シェーカーという容器に材料を入れて、シャカシャカと撹拌して混ぜ合わせます。これにはそれなりの練習が必要です。
もう1つがロングカクテルと言われるもので、大きめのグラスに氷と一緒に入れたカクテルです。容量はその店によりますが、生中よりも小ぶりの300~350mlの場合が多いです。これは、バースプーンと言われる長いスプーンでステアする、つまりかき混ぜることで作るのがほとんどです。
居酒屋で提供するものはこのうちロングカクテルだと考えてよいでしょう。ショートカクテルは静かな店で落ち着いて飲むものですから居酒屋の雰囲気に合いませんし、何より作れるようになるためには、かなり練習しなければなりません。ですから、以下での居酒屋向けのカクテルはすべてロングカクテルの中からご紹介します。
カクテルを作る道具を準備しよう
居酒屋でカクテル、それもロングカクテルを提供する場合、ショートカクテルほど準備する道具はありませんが、いくつかの道具は必要です。最低限必要なものをご紹介します。
メジャーカップ
混ぜあわせる材料を量る道具です。主にステンレス製で2つの三角錐のお尻同士をつなげた形をしてて、それぞれが30mlと45mlの計量用になっています。ほかにも種類はありますが、一般的な材料は45、30、15mlで計量しますから、これが1つあればよいでしょう。
グラス
居酒屋の中には生ビールのグラスで代用している場合もありますが、女性受けを狙ったり、生中グラスは容量が400mlあるので、ポーションがオーバー気味になってしまうことを考えると、カクテル用のロンググラスは用意したほうがよいでしょう。ロンググラスにも3種類ありますが、そのうちのコリンズグラスという、細長い円筒形のソーダ水やトニックウォーターなどの炭酸を入れたカクテル用は揃えておきましょう。さらに普通のコップのようなタンブラーがあれば十分です。
バースプーン
スプーンとフォークがつながった長い柄です。柄はらせん状になっています。スプーンの部分は1tsp(ティースプーン)という容量を量るためのもので、フォークの部分はビンに入ったオリーブや果物を取り出すときに使います。柄のらせんはステアの時に混ぜやすいようにするためです。
カクテルレシピ〜定番〜
ではどのようなカクテルを揃えればよいのでしょうか?定番のカクテルメニューをカクテルレシピと一緒にご紹介していきます。
男女別好きなカクテルとは?
ご紹介の前に、以下のカクテルが本当に定番なのかを証明するために、男女別の「好きなカクテル」を挙げておきます。
男性の好きなカクテル
- 1位 ジン・トニック 34.3%
- 2位 ソルティー・ドック 31.6%
- 3位 ジン・ライム 30.6%
- 4位 カシス・オレンジ 27.4%
- 5位 スクリュー・ドライバー 24.8%
女性の好きなカクテル
- 1位 カシス・オレンジ 48.2%
- 2位 ソルティー・ドック 32.2%
- 3位 モスコー・ミュール 30.6%
- 4位 スクリュー・ドライバー 27.0%
- 5位 カルーア・ミルク 24.5%
全てロングカクテルですので、やはり居酒屋ではロングカクテルを用意すればよいでしょう。
カクテルレシピ紹介
では、男女それぞれの上位のカクテルレシピを5種類ご紹介します。
ジン・トニック
ジンをベースにしたカクテルは多いですがその中でも最も良く注文されるのがジントニックです。もとは健康飲料だったトニックウォーターに、ジンを入れてみたら驚くほど美味しかった、というのが発祥です。ランキングにはジンライムもありますが、これはトニックウォーターの代わりライムジュースを、レモンの代わりをライムにするだけです。
材料
- ジン 45ml
- トニックウォーター 適量
作り方
- 氷を入れたタンブラーに注ぎ、軽くかき混ぜる。
- レモンを飾る。
ソルティー・ドック
ソルティ・ドッグはバブル期のころにトレンド雑誌がおしゃれなカクテルとして紹介してから有名になりました。最初はイギリスでジンベースにグレープフルーツジュースを加え、塩をひとつまみ入れてシェイクするというものでしたが、それがアメリカに移って、今のスタイルになりました。
材料
- ウォッカ 45ml
- グレープフルーツジュース 適量
- 塩 適量
作り方
- タンブラーの口の周りを水で濡らします。
- そこに塩をまぶします。塩の入ったら皿にタンブラーを逆さにしてかぶせればつきます。
- 氷を入れ、材料を注ぎ、軽くステアします。
ジン・バック
ランキングにはありませんが人気のカクテルを入れておきます。「バック」とは、強い酒にレモンジュースとジンジャー・エールを加えて作るスタイル全般を指します。
材料
- ジン 45ml
- ジンジャーエール 適量
- フレッシュレモンジュース 25ml
作り方
- 氷を入れたタンブラーに材料を注ぎ、軽くステアします。
- ライムまたはレモンを飾ります。
カシス・オレンジ
女性がとにかく好きなカクテルがカシスオレンジで、缶チューハイでも販売されているほどです。カシスの甘さと柑橘系のオレンジの相性が好まれています。
材料
- クレーム・ド・カシス(カシスのリキュール) 45ml
- オレンジジュース 適量
作り方
- グラスに氷を入れ、材料を入れます。
- 軽くステアします。
先にカシスリキュールを入れることで、見た目もきれいな仕上がりとなります。その場合は混ぜずにマドラーをさして提供し、見た目もお客様に楽しんでもらいましょう。
モスコー・ミュール
モスコー・ミュールの発祥は、1946年にハリウッドのサンセット大通りに面した「コックンプル」というレストランです。口当たりが強いため「モスクワの強情者」という意味の名前が付けられました。とは言え飲みやすいので女性にも人気のカクテルです。
材料
- ウォッカ 45ml
- ジンジャーエール 適量
- フレッシュレモンジュース 15ml
作り方
- 氷を入れたタンブラーに材料を注ぎ、軽くステアします。
- ライムを飾ります。
以上が極めて定番のカクテルです。まず最初はこれだけ揃えれば十分でしょう。
カクテルレシピ〜日本酒ベース〜
定番ということは競合店にもあり、どこでも飲めるということです。そこで、居酒屋ならではのカクテルということで、日本酒ベースのカクテルレシピを5種類ご紹介します。日本酒を使ったカクテルは吟醸酒を使うことですっきりしたカクテルとなりますので、カクテルにしても十分に美味しく飲めるものに仕上がります。
サケニック
「最初はビール!」の代わりになるすっきりしたカクテルです。
材料
- 吟醸酒
- ソーダ
- トニックウォータ
- オレンジ
作り方
- 氷をグラスいれ、日本酒を半分まで注ぎます。
- トニックウォーターを残りの半分(全体の1/4)入れます。
- ソーダでグラスいっぱいまで注ぎます。
- 軽くステアします。
- オレンジを軽く絞ります。
サケ・カシストニック
甘酸っぱいカシス、苦いトニックウォーター、まろやかな日本酒オンバランスがいいカクテルです。
材料
- 吟醸酒
- トニックウォーター
- カシスリキュール
- レモンスライス
作り方
- グラスに氷をいれ、日本酒を半分まで入れます。
- 同じだけの量のトニックウォーターを足して軽くステアします。
- カシスリキュールをティスプーン1杯入れます。
- レモンスライスを飾ります。
フレッシュ・トマト・ミスト
果物を潰してアルコールに混ぜるカクテルをミストと言います。ここではトマトを使いますが、オレンジやグレープフルーツでのアレンジも可能です。
材料
- 吟醸酒
- フレッシュトマト
- シュガーシロップ
作り方
- グラスにトマトを1/4入れて潰します。
- クラッシュアイスと吟醸酒を入れてよくステアします。
- シュガーシロップティースプーン1杯入れます。
サムライ
サムライは重厚なオーセンティックバーでも出す日本酒カクテルの定番です。
材料
- 吟醸酒
- ライムジュース
作り方
- グラスに氷を入れ、日本酒を半分以上注ぎます。
- 残りをライムジュースで満たします。
- ステアします。
サケハイボール
ハイボールは今大人気ですが、日本酒で作ってもおいしいです。ハイボールに飽きた人の誘導も可能です。
材料
- 吟醸酒
- ジンジャーエール
- レモン
作り方
- グラスに氷をたっぷり入れて、日本酒を半分以上注ぎます。
- 残りをジンジャーエールで満たします。
- ステアします。
- レモンの皮を半分むいてグラスの縁に刺します。
カクテルレシピ導入時の注意点
以上、簡単なカクテルばかりご紹介しましたので、ドリンク担当のアルバイトでも作ることができます。しかしカクテル導入時には以下の点だけは注意しましょう。
- カクテルレシピは徹底する
カクテルは原価が低いですが、うっかり見逃していると入れる氷が少なくなってベースの酒が増えていたり、と原価が上がりやすいドリンクでもあります。したがって、「グラスはこれを使う」「氷は8個入れる」「酒は絶対に量っていれる」などレシピを徹底させましょう。 - 日本酒カクテルは名前を工夫する
定番カクテルは名前の工夫の使用がありませんが、日本酒カクテルはまだ知られていません。ですから、インパクトのある名前を工夫して注文率を上げましょう。 - 試飲する
上では定番のレシピをご紹介しましたが、1度はすべてそのままで作って味を確認してください。もっとアルコールが強めの方がいい客層や、女性客が多いので甘めにした方がいいなどの工夫の余地はありますから、店舗に合うように修正しましょう。 - ステアは静かに行う
基本的にロングカクテルは材料をステアしますが、ガチャガチャと乱暴にかき混ぜるのはNGです。静かに3~4回バースプーンを回す程度で十分です。 - 日本酒は吟醸酒を
ベースになる酒は、ジンならどのようなジンでも大丈夫ですが、日本酒カクテルだけは吟醸酒にしましょう。純米酒はそれだけで飲めば美味しいですが、酒のうま味が残っているためカクテルにすると味がバッティングします。吟醸酒であれば、純米吟醸酒でも醸造用アルコールを添加した吟醸酒でもOKです。もちろん大吟醸酒でもいいのですが、それは原価が高くなるのでやめておいた方がよいでしょう。
まとめ
いかがでしょうか。
若者中心にドリンクのニーズはハード系からソフト系に移っています。居酒屋であってもぜひカクテルを導入して、若者や女性層の取り込みを狙いましょう。
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