
朝食を提供する店といえばカフェ、牛丼チェーン店、ファストフード店などにほぼ限られていましたが、近年は居酒屋、ラーメン店、うどん店、すし屋と多様化してきています。
メニューは生卵に納豆、味噌汁といった定番に加え、これまでの日本の食習慣にはなかった朝カレーなども登場し、今ではすっかり定着しています。
朝の時間帯から営業を開始するにはどのような工夫が必要なのか、今回は朝食ビジネスの戦略について見ていきましょう。
朝食メニューはなぜ必要なのか
朝、目覚めたときは体温も血糖値も低下しています。血糖とはごはんやパンなどの炭水化物に含まれるブドウ糖のことで、血流に乗って全身に運ばれ、細胞内に取り込まれて筋肉を動かすエネルギー源になります。脳にとってはこのブドウ糖が唯一のエネルギー源です。
ブドウ糖は筋肉や肝臓には蓄えられますが、脳には貯蔵する仕組みがないうえ、脳は睡眠中も働いていますから、朝起きたときはエネルギーを使い果たした状態です。この機能低下した状態を元に戻し、活動のスイッチを入れるのが朝食の役割です。
ブドウ糖の血中濃度を示す血糖値は、食事をすると上がり、空腹になると下がります。私たちの胃はだいたい4~5時間で空になりますから、1日3食は生理的にも必要なのです。
もし、朝食を摂らなければ、脳にエネルギーが供給されないため、イライラや集中力の低下などをきたし、仕事の能率も上がりません。
また、朝食抜きで空腹のまま活動を開始すると、貯蔵されているブドウ糖をエネルギーに換えるために体中のエネルギーが総動員されることになり、交感神経が過剰に働いて頭痛や肩こりを引き起こします。
日本人の食習慣では、夕食をメインにしがちです。朝は忙しくて、ゆっくり食べられるのは夜しかないという人が多いからでしょうが、夕食のボリュームを多くしすぎて食べた物を体内で消費しきれないと肥満の原因になり、別の問題を引き起こしてしまいます。
朝食、昼食、夕食のカロリー配分は3:4:3が理想とされています。ダイエット中は4:5:1が望ましいという説もあります。いずれにしても朝食は心身の健康にとっていかに大切なものであるかがわかります。
朝食メニューのニーズが高まっている
朝の時間帯にコーヒーなどの飲み物に軽食をセットしたモーニングサービスが始まったのは大正時代のことといわれています。時代とともにモーニングサービスのニーズが高まり、全国の喫茶店やレストランに広がっていきました。そして今では、ファストフードや牛丼などの外食チェーン店も朝食メニューに注目し、学生やビジネスパーソンを対象とした朝食ビジネスに力を入れています。
その背景には、社会全体が「朝方」になってきていることがあると専門家は分析しています。企業のなかには光熱費などの経費削減のために残業を原則禁止して、その代わり午前5~9時までの早朝勤務に対する時間外手当を割り増しする制度を導入するところが増えています。そのようなことから、朝食ビジネスは今後も成長することが見込まれています。
【関連記事】
【業態・業績から考える】飲食店の営業時間の決め方・見直しのポイント
業態別!定番の朝食メニューとは
では、次に業態別の人気メニューをあげてみましょう。ただし、メニューは絶えず変わりますし、使われる食材も季節によって異なりますから、これはあくまでも一例であることをお断りしておきます。
ファストフード
- ソーセージエッグマフィン(ベーコン+卵+バター+チーズ+マフィン=270円)
- ホットケーキ(270円)
- ハッシュドポテト(120円)ほか
牛丼チェーン
- 納豆牛小鉢定食(牛小鉢+納豆+焼きのり+ごはん+味噌汁=450円)
- 卵かけさば定食(生卵+さば塩焼き+ポテトサラダ+ごはん+味噌汁=320円)
- ベーコンアスパラ定食(ベーコン+アスパラ+ポテトサラダ+おしんこ+ごはん+味噌汁=350円)
- ソーセージエッグ定食(ソーセージ+目玉焼き+ミニ野菜サラダ+焼きのり=400円)ほか
カフェ
- ハム卵サラダサンド(ハム+目玉焼き+レタス+トマト+パン=390円)
- クラブハウスサンドウイッチ(ベーコン+半熟卵+鶏肉+トマト+グリーンリーフ+バター+全粒粉パン=560円)
- ジャーマンドック(ソーセージ+マスタード+パン=390円)ほか
居酒屋
- 海鮮丼(まぐろ+とり貝+ほたて+たこ+いくら+のり+酢飯=830円)
- まぐろとろろ納豆丼(まぐろ+とろろ+納豆+生卵+ごはん=620円)
- 朝カレー(チキンカレー+野菜サラダ=600円)ほか
うどん店
- 納豆おくら丼(納豆+おくら+生卵+ごはん+半玉うどん=360円)
- カレーセット(ミニカレー+半玉うどん=300円)ほか
すし屋
- 卵焼き定食(卵焼き+漬物+ごはん+味噌汁=640円)
- 豚汁定食(豚汁+漬物+ごはん=640円)ほか
以上にあげたメニューは開店時から11時ごろまでの時間限定メニューですが、最近は朝の時間帯に限定せず、営業時間中ずっと朝食メニューを提供する専門店も登場しています。
世界中の朝食を楽しめる店や、プチ贅沢を楽しめるパンケーキが人気の店などいろいろなスタイルがあり、とくに若い女性の間で人気を呼んでいます。
【関連記事】
トーストレシピあれこれ!人気のカフェトーストメニューを作ろう!
「頭が冴える朝食メニュー」で集客しちゃおう
朝食メニューを取り入れるのであれば、脳を元気にする食事ということをアピールするのも一案です。
脳のエネルギー不足を補うには、ブドウ糖を含む炭水化物が必要です。炭水化物の中でも粒食のお米が向いています。粒食は食パンやめん類などの粉食より消化・吸収がゆっくりで、食後の血糖値もゆるやかに上げていきます。そして適正の水準を長時間維持するため、お米は脳にとってブドウ糖の安定した供給源となるのです。また、固形物はよく噛む必要があるので脳の血流をよくしたり、胃の運動を活性化するなどの効果もあります。
バランスのよい朝食は、和風・洋風を問わず「主食+一汁三菜」が基本です。和風ならごはん+味噌汁+焼き魚+卵焼き+野菜(おひたし)などで、洋風ならパン+スープ+ハムやベーコン+目玉焼き+野菜(サラダ)などです。
朝食に用いたい食材とその栄養効果をあげてみますので、朝食メニューを考える際の参考にしてみてください。
●卵……内臓や骨、筋肉、皮膚など体を構成する主成分であるタンパク質が豊富です。必須アミノ酸(体内では合成されないタンパク質)を多く含むので、毎日摂りたい食品の筆頭です。
●納豆・大豆製品……畑の肉ともいわれるようにタンパク質が豊富です。血圧やコレステロールを下げる働きもあります。
●ボンレスハム……摂取した炭水化物をエネルギーに換えるときに必要なビタミンB1が豊富です。
●鮭・サーモン……鮭に含まれるDHA(ドコサヘキサエン酸)は脳細胞を活性化し、ぼけ防止に役立つといわれています。
●ほうれん草……緑黄色野菜の王様といわれるほうれん草はβ‐カロテン(体内でビタミンAに変わる物質)が豊富で、粘膜や皮膚の健康維持に役立ちます。若返りのビタミンといわれるビタミンCとEも多く含まれています。
●のり……炭水化物をエネルギーに換えるビタミンB1が豊富で、おにぎりにのりを巻くのは理にかなった食べ方です。
健康効果を考える場合は、「体にいい食材」ばかりにとらわれないことも大切です。昨日の食材が残っているときはそれを利用するなど、できるだけ多種類の食材を使って栄養バランスのよい朝食メニューを考えるようにしましょう。
【関連記事】
朝活で利用してもらおう!早朝オープンと美味しいモーニングで朝活客を呼び込むには
まとめ
朝食メニューを取り入れる理由の1つに、これまでクローズしていた時間帯も営業時間に当てることで家賃程度の売上を確保できるということがあります。しかし、それが可能になるのはビジネス街や繁華街などに限定されます。
立地によっては採算が取れない場合もありますから、事前のマーケティングリサーチは欠かせません。実際に参入したが不採算で撤退した店はないか、その失敗の原因はどこにあったのかなどを調査してみる必要があります。
「朝」のもつフレッシュなイメージを前面に出した店舗展開は今後さらに増えることが予想されていますから、じっくり検討してみてはいかがでしょう。
【店舗経営においてはPOSレジが欠かせない】
店舗を経営するにあたって、今やなくてはならないのが「POSレジ」です。POSレジ一つで日々の業務効率化だけでなく、売上管理・分析等を行うことが出来ます。
現在はiPadなどを用いた「タブレット型POSレジ」が主流になっており価格も月々数千円~で利用出来るようになっています。機能性も十分に高く、レジ機能はもちろん、会計データの自動集計により売上分析なども出来るため店舗ビジネスをトータルで効率化させることが出来ます。
「機能を使いこなせるか不安」という方には、操作性が高い「ユビレジ」がおすすめです。業種を問わず累計3万店舗以上で導入されているタブレットPOSシステムで、月々6,900円(税別)からご利用いただけます。
実際の操作方法などが気になる方には無料のオンラインデモも対応可能!まずはお気軽にご相談ください。