
カフェはレストランなどに比べると料理の種類が少ないことから、低予算で開業できるというイメージがありますが、軽く見積もっても1,000万~2,000万はかかります。しかし、節約のしかたもいろいろあります。
そこで今回は、カフェの開業資金の内訳と資金調達の方法、そして上手な節約の仕方をご紹介します。これまで温めてきたカフェ開業の夢を実現し、成功させるためにぜひ参考にしてください。
カフェ開業に必要な資金とは?
開業する場所や店舗の規模によって開業資金は大きく異なります。ここでは都市近郊の商店街で開業することを想定して、必要な資金を説明していきます。
1. 店舗物件取得費
まず、店舗物件ですが、最初から40坪も50坪もある広い店舗ではなく、客席面積が20坪程度からスタートするのがベストです。
席数は、客席面積の1.5倍が標準とされており、面積が20坪であれば「20×1.5=30席」となります。これは標準ですから、たとえば、お店のコンセプトが「ゆったりくつろげる癒しの空間」であれば25席くらいに少なくし、逆にカフェは客単価が低いから客数を多くしたいと考える場合は30席以上設けるようにします。
席数が決まれば、売上予想が立てられます。1日の売上は「席数×客席稼働率×回転数×客単価」で求めることができます。稼働率とは、全席数に対して実際に埋まる席の割合のことで、カフェの稼働率は60~80%程度といわれています。
〈例〉席数が30席、回転数3回、客単価700円、稼働率70%とした場合、
1日の売上予想額は、「30×3×700×70%=44,100円」。
1か月の営業日数が26日とすると、毎月の売上予想額は、「44,100円×25日=1,146,000円」となります。
店舗の家賃は売上の10%が適正とされていますから、家賃が11万円前後の物件を探すのがポイントです。
飲食店向けの物件では、保証金が家賃の10か月分、家賃・礼金・仲介手数料それぞれ1か月分で、計13か月分を支払うのが一般的なので、この例の場合は、「110,000×13か月=143万円」を準備する必要があります。
2. 設備工事費
新築で造作が何もないスケルトン物件の場合、電気工事は、コンセントと照明器具の配線、エアコン、給排気ファン、大型冷蔵庫などの動力の配線・引き込み工事が必要です。20坪の店舗なら60万~80万円かかります。
ガス工事は、飲食店用としてガスが入っていれば配管工事だけですむため、坪当たり30~40万円です。
水道工事は、厨房とトイレなどの水回り全体で60万~100万円くらいです。カフェでも定食やパスタ、カレーなどを提供する場合は、保健所からグリストラップ(生ゴミや油を除去する装置)の設置を指導されます。サイズにも規定があるため、グリストラップの大きさによって工事費が違ってきます。
3. 内装工事費
天井、床、壁、厨房、トイレ、ファサード(入り口)など店舗全体の内装工事費です。坪当たり30万円が相場とされています。客席面積20坪と厨房その他の面積を合わせて25坪とすると750万円かかることになります。
4. 備品、什器、消耗品
テーブルと椅子、照明器具、音響、レジ、エスプレッソマシン、オーブン、製氷機、冷蔵庫、家具、食器類などで150万円程度は必要です。
5. 広告宣伝費
集客のためにチラシ、ホームページ作成費用、ショップカードなどに20万円ほど要します。
6. 運転資金
開業資金で最も重要といえるのが運転資金です。飲食店が軌道に乗るまで早くて3か月、一般には6か月かかるといわれます。売上がほとんどない月でも家賃や光熱費、材料費などは削るわけにはいかないため、赤字に転落してしまうことがあります。そのような低迷期を乗り越えるためには、家賃と材料費、それにオーナーの生活費を合計した額の6か月分を確保しておくのが望ましいとされています。材料費は売上予想額の30%、生活費は同じく18%以下が妥当とされています。
上の例では、「110,000円(家賃)+ 343,800円(材料費)+206,280(生活費)=660,080円」です。これの6か月分は396万480円、約400万円の運転資金が必要ということになります。
以上の1~6までの総計は1,663万円となり、これが開業資金として準備しておきたい金額です。なお、家賃の保証金は、賃貸契約を解約する際に返還されるのが原則です。
カフェ開業資金はどうやって調達すればいい?
開業資金を準備するには、知り合いの中から出資者を募る方法もありますが、万が一経営が行き詰ったとき、人が変わったように厳しく返済を迫られることを覚悟しなければなりません。そのようなことも考えて借金は親兄弟と金融機関だけにするほうが賢明です。
自己資金の足りない分は親兄弟から借りる
開業資金の全額を自己資金で賄えるに越したことはありませんが、開業資金の10~30%は貯えておく必要があります。というのも、金融機関などから融資を受ける際、10~30%程度の自己資金を所有していることが条件となるからです。貯金ができない場合は、親兄弟や友人から借りるか、援助してもらうようにしましょう。
日本政策金融公庫の融資を受ける
株式会社日本政策金融公庫は、株の100%を国が保有する特殊法人で、国の機関ではないけれどそれに準じる金融機関という位置づけです。
創業者・起業家を対象とする融資制度は数多くありますが、その中でも比較的利用しやすいといわれるのが「新創業融資制度」です。この制度の大まかな要件は次の通りです。
- 融資の対象……法人企業、個人事業主
- 融資限度額……3,000万円(うち運転資金1,500万円)
- 借入期間…… 最長5年。据え置き期間(元本の返済を猶予してもらい利息だけ支払う期間)が1年
- 金利(基準)……2.26~2.85%(2018年8月現在)
- 担保・連帯保証……原則不要
担保も連帯保証人も原則として不要というのは、ほかの融資制度ではあまり見られないので、その点でもハードルの低い制度といえるでしょう。
そのほかにも、「新規開業資金制度」「女子・若者/シニア起業家支援資金制度」などもあります。
開業資金を節約する方法はある?
カフェ開業にざっと1,600万円もかかることがわかりました。しかし、節約のしかたもたくさんあります。その1つが居抜き(前の借主が施した設備や内装のままの物件のこと)を借りることです。開業資金の中で大きなウエイトを占めているのが内装工事費です。スケルトンの物件ゆえに750万円もかかるのであって、居抜き物件であれば電気・ガス・水道の設備工事は不要です。
また、内装もリフォームなしで、厨房機器や什器、テーブル、椅子などもそっくり使える状態であれば200万円の節約になります。前の借主に造作譲渡費用を支払う必要がありますが、造作の状態によっては無償譲渡ということもあり得ます。
これで合計950万円もの費用削減になります。もちろん、居抜き物件もメリットだけではなくデメリットもありますから慎重に判断すべきですが、初期費用を抑えるためには有利な方法です。
飲食店の居抜き物件のチェックポイントや探し方
スケルトン物件での節約法としては、コンクリートむき出しの壁をそのまま活かしてスタイリッシュな空間を演出することがあげられます。また、厨房機器や什器類は新品をそろえるのではなく、中古品を利用することで大幅に予算を削ることができます。飲食店専門のリサイクルショップには新品同様の中古品が並んでいますから、予算が150万円としてもその半額程度でそろえることも可能です。
飲食店の店舗物件の探し方教えます!居抜き物件とスケルトン物件の特徴と比較
まとめ
いかがでしょうか?
カフェの店舗の広さは、スタッフを雇わずひとりで回す場合は20坪以内が適切です。そこから席数を割り出して売上予想を立て、家賃が売上の10%以内に納まる物件を探すことがポイントです。こうしたシミュレーションなしで場所や外観だけを重視して選んだりすると後悔することになります。
売上予想と合わせて運転資金についてもよく検討しましょう。開店当初はオープン景気といって多くのお客様でにぎわいますが、やがて売上ゼロという日が来ます。そこで早くも撤退してしまうオーナーが少なくないのです。それを避けるためにも事前にシミュレーションをして、必要な運転資金はしっかり確保しておくことが大切です。
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