
ビールには一般のビールから黒ビールまで種類はいろいろとあります。それどころか、一般のビールでも実は「ラガー」と「生」は製法が異なります。にもかかわらず、その種類に合わせておつまみを選択をしている人は少なく、そのような提案をしている飲食店もあまりないのではないでしょうか。
今回ご提案したいのは、ビールごとに合うおつまみがあり、それをお客様に提案することは店舗にとってメリットがあるということです。ビールに合うおつまみを用意する理由と、ビールの種類別、店舗の業態別にぴったりなおつまみについてご紹介していきます。
ビールに合うおつまみを用意する理由
ビールだけでなく、お酒に合わせたおつまみを用意するのには理由があります。まずは、その理由を改めて確認しておきましょう。
そもそもお酒におつまみは必須
改めて確認したいのは、「お酒におつまみは必須」ということです。
アサヒビールの調査によると、「おつまみを必ず食べる」という人は、20~40代で60%前半、50代で68.7%、60代で75.7%と、半数以上の人がお酒を飲むときにはおつまみを食べることを重視しています。飲食店としても、何となくおつまみを用意するのではなく、「うちではお酒に合うおつまみを考えています」というアピールは、お客様のニーズに合うと言えるでしょう。
おつまみを食べるのには理由がある
お酒の時におつまみを食べる理由は、同じくアサヒビールの調査では以下のようになっています。
1 お酒の味を引き立てる(美味しく飲むため) 58.8%
2 胃壁へのアルコールの刺激を避けるため 34.2%
3 あまり理由はないが、つい食べてしまう 28.5%
4 悪酔いを防ぐため 25.1%
5 肝臓機能を助けるため 6.6%
このデータでもわかるように、6割の人はお酒の味を引き立てるためにおつまみを食べています。つまり、「お酒に合うおつまみ」があることは、その店を選択する理由にもなりえるということです。したがって、お酒に合うおつまみを提供できるお店は、必然的に集客力が高まるわけです。
ビールに合うおつまみのポイントは
では、ビールに合うおつまみについて考えていきましょう。
考え方の一つとして、「フードペアリング理論」と呼ばれる理論があります。この理論によると、食べ物の相性は、その食材が持っている化学物質によって決まるとされています。
たとえば、「赤ワインには肉」が合うということと、「赤ワインに魚介類は合わない」ということは、この理論によって説明することができます。赤ワインと魚介類を食べ合わせた時に感じる鉄のような金属味や魚くさい味は、赤ワイン中の鉄イオンや、赤ワインと魚介の成分が組み合わされてできる揮発性の物質が原因なのです。このように、お酒に合うおつまみの組み合わせは科学的に発見できます。
しかし、実はこの「フードペアリング理論」はいまだ研究中の理論であり、公式として出すまでには至っていません。ただ、「似た物質を持っているもの同士」「対照的な物質を持っているもの同士」が「合う」ということまでは証明されています。また、「組み合わせると新しい味が出現する同士」も合うと証明されています。たとえば、シングルモルトウィスキーにはビターなチョコレートが合う、赤ワインにはブルーチーズを合わせて食べるとワインが甘く感じる、などがその例です。
この証明に従えば、さっぱりした味わいのビールには、「似たもの」としてさっぱりしたおつまみか、「対照的なもの」として油っこいおつまみが合うということになります。果たしてそれは正しいのでしょうか。
「フードペアリング理論」から導き出された仮設を、「ビール好きの人とビール嫌いの人が選ぶ割合が極端に違うおつまみは何か?」という点で検証してみましょう。ぐるなびの調査によれば以下のようなおつまみでした。
ビール好き | ビール嫌い | |
---|---|---|
もつ煮 | 47.0% | 25.0% |
焼き魚 | 44.4% | 28.1% |
たこわさ | 36.3% | 21.9% |
塩から | 31.0% | 18.8% |
ピザ | 47.0% | 31.3% |
麻婆豆腐 | 29.8% | 6.3% |
このアンケートでわかるように、確かにビールのさっぱり味と「似たもの」である焼き魚、「対照的なもの」としてたこわさや麻婆豆腐のように辛いもの、もつ煮やピザのようにこってりしたおつまみが挙がってきていることが分かります。
【結論】ビールに合うおつまみは以下の3点のどれかの味の特徴を持っている
- 塩味の利いたもの
- 辛いもの
- 油っこいもの
また、さらに飲食店経営の観点で言えば、もう1つここに加わります。
- スピード提供できるもの
最近はややその傾向が薄れてきましたが、「最初は生ビール」という注文傾向は依然としてあります。この時にビールだけではなく、素早く提供できるおつまみを用意することも重要でしょう。
種類別!ビールに合うおつまみとは
以上のことを踏まえて、ビールに合うおつまみをご紹介していきます。一括して「ビールに合う」のではなく、「種類ごとのビールに合う」というところまで踏み込んでいますので、複数のビールを提供している場合は使い分けてみてください。
ビールの種類について
ビールの種類と一口に言っても、実に厄介なものです。
実は「ラガービール」と「生ビール」は別物だということをご存知でしたか。具体的な商品名でお話をすると、キリンラガーとキリン一番搾りは全く別の種類となります。定義的に言えば「熱処理して殺菌しているもの」がラガーで、「熱処理していないもの」が生なのです。つまりキリンラガーは「ラガービール」で、一番搾りは「生ビール」のわけです。
また、アサヒスーパードライを瓶から飲む場合は「瓶ビール」、サーバーから出して飲む場合は「生ビール」と言っていますが、実際には同じものです。その証拠に瓶のスーパードライのラベルにも大きくしっかり「生」と書いてあります。にもかかわらず、明らかに瓶ビールよりもサーバーから注いだいわゆる「生ビール」の方がおいしく感じるのは、サーバーで保存しているビールの方が熱や日光を遮るので保存状態がよいからなのです。瓶ビールはトラックの荷台に載せられ、場合によっては遮光のカバーもかけられずに運搬されていますから、その間に品質が劣化していることがあるのです。ですからできたてを飲めば、瓶ビールも生ビールと全く同じ味になるはずなのです。
また、本当の「ビールの種類」とは、ラガービール、ピルスナー、エールビール、スタウトなどを指しますが、一般の飲食店では細かく分類しすぎることは相応しくありません。そこで今回は、多くの居酒屋などで提供されているビールの種類ごとに合うおつまみを、レシピと一緒にご紹介していきます。
ビールに合うおつまみ〜種類別〜
瓶ビール:「鶏の手羽先柚子こしょう添え」
「瓶ビール」には、「鶏の手羽先柚子こしょう添え」はいかがでしょうか。スピード提供はできませんが、ピリッと辛い味がビールとの「対照的な味」として合うはずです。
材料
- 手羽先 数本
- 塩 少々
- こしょう 少々
- にんにく 少々
- オリーブオイル 大1~2
- 柚子こしょう 少々
調理方法
- 手羽先は仕込みの段階で塩、こしょうを振り、下味をつけておく
- フライパンにオリーブオイルを入れ、手羽先の皮目を下にして並べる。まだ火はつけない
- フタをして火を付け、中火より少し弱めの火でじっくり焼く
- 手羽先の上側の色が変わっていたら、ひっくり返す。この時に、にんにくを入れる
- 全体的に火が通ったら盛り付け、柚子こしょうを添える
生ビール:「なんちゃってスコッチエッグ」
サ―バーから注ぐ生ビールには、「なんちゃってスコッチエッグ」はいかがでしょうか。本当のスコッチエッグは卵を揚げる料理ですが、なんちゃってスコッチエッグでは揚げることなく、簡単に調理します。スピード提供可能という点と、油っこい点で生ビールに合うはずです。
材料
- 卵 適宜
- じゃがいも 適量
- 薄力粉 小2
- 塩 少々
- カレー粉 大1~2
- ごま 適量
- オリーブオイル 適量
調理方法
- 固ゆで卵を作る
- じゃがいもの皮を剥き、洗ってからシリコンスチーマーなどで電子レンジで加熱する
- マッシャーでつぶしてマッシュポテトにする
- 薄力粉を入れて手でよく混ぜ、途中で塩とカレー粉を入れてさらに混ぜる
- 4の生地でゆで卵を包む
- ごまをまぶして軽く押し付ける
- フライパンにオリーブオイルを適量入れて火にかけ、30秒ほど温める
- 5を入れて焼き目がつく程度に焼く
黒ビール:「バナナのチョコレートかけ」
黒ビールのコーヒーのような苦味には、カカオの含有率が高いブラックチョコレートが「似たもの同士」として相性が抜群です。そこにバナナのコクの甘みを加えると「対照的な味」がプラスされて、さらに美味しさが増します。
材料
- バナナ 1本
- ブラックチョコレート 板チョコ半分
- 牛乳 大3
調理方法
- バナナを一口大にカットする
- 板チョコレートを適当に割り、耐熱容器に入れ、牛乳を加える
- 電子レンジで加熱する。500wの場合1分半程度
- 3を固まらない内にスプーンでよくかき混ぜる
- バナナにかける
今回はコクのあるフルーツとしてバナナを使用しましたが、パイン、メロン、マンゴーなどのなめらかでコクのあるフルーツでも良いでしょう。
ベルギービール:「ゴボウのバターソテー〜ブラックペッパーとレモンの風味で〜」
ベルギービールとはベルギーの醸造所で製造されたビール全体の名称で、たくさん種類があります。本来はブランドごとに合うおつまみがあるのですが、ここではメジャーな「シメイ」を想定します。ゴボウのえぐみがベルギービールの味と「似たもの同士」であり、かつバターの油っこさが「対照的なもの」なので、ぴったりのはずです。
材料
- ゴボウ 1本
- 酢 少々
- 塩 少々
- レモン 1/4個×2
- バター 大1~2
- 黒コショウ 少々
- セルフィーユ 数枚
調理方法
- ゴボウはよく洗い、皮の部分に香りと旨味が凝縮されています。よって、ゴボウの皮はむかずに5cm位に切り分ける(根元は4等分、細い部分は2等分)
- ボウルに酢を入れ、ゴボウを入れて10分程度アク抜きをする
- 塩少々、レモン1/4個を入れた湯でゴボウを7分位ゆでる
- ゴボウを取り出し水気を切る。この時、ゆで汁を大3分とっておく
- フライパンにバターを溶かし、ゴボウを加えて色づくまで炒める
- 塩、黒コショウを入れ、器に盛る
- フライパンに残ったバターに4のゆで汁を加え、水分が半分位に煮詰まったらゴボウにかける
- 残りのレモンとセルフィーユを添える
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業態別!ビールに合うおつまみとは
業態ごとでおすすめする、ビールに合うおつまみレシピをご紹介します。この場合のビールとは、いわゆる瓶ビールと生ビールの両方であると考えてください。
和風居酒屋:「ちくわの天ぷら スイートチリソース」
天ぷらの油っこさ、チリソースの辛さがビールには「対照的な味」なのでぴったりです。
材料
- ちくわ大3本(1本80g)
- ★薄力粉大3、片栗粉大1、冷水50ml
- 揚げ油 適量
- スイートチリソース(市販品) 大4
- キュウリ 1/2本
- ピーナッツ 20g
調理方法
- キュウリとピーナッツをみじん切りにしてスイートチリソースと混ぜる
- ちくわは一口大に切る
- ★を混ぜてちくわをくぐらせ、中温の油で揚げる
- ちくわに1のソースを具ごとたっぷりかける
洋風居酒屋:「キャベツとソーセージのすっぱ炒め」
ソーセージの油っこさがビールと「対照的な味」であり、酸味が「似たもの同士」の味なのでぴったりです。酢の代わりにワインビネガーを使うとより洋風になります。
材料
- キャベツ 小1/3玉
- ソーセージ 50g
- にんにく 1片
- 固形スープの素 1個
- オリーブオイル 大1
- 塩 小1/2
- コショウ 少々
- 酢 大2
- 粒マスタード 大1~2
調理方法
- キャベツは太めのせん切り、ソーセージは5mm位の厚さに輪切り、にんにくはみじん切りにする。固形スープの素は細かく砕いておく
- フライパンにオリーブオイル、にんにくを入れ、弱火にかける
- 香りが出たら中火にし、固形スープの素とソーセージを入れ、さっと炒める
- フライパンにキャベツのせん切りを入れ、塩、コショウをふりかけて炒める
- キャベツがしんなりとしたら、酢と粒マスタードをからめて火を止める
肉系飲食店:「牛ステーキの和風フレッシュトマトソース」
肉バルなどの生肉を大量に仕入れる飲食店の場合は、それをうまく活用したおつまみも有効です。洋風の味付けのメニューはたくさんありますから、和風のものも1つ用意すると、目先が変わってよいでしょう。肉の油っこさと酸味が、ビールと相性抜群です。
材料
- トマト 小2個
- 大葉 8枚
- ★麺つゆ(3倍濃縮タイプ)大1+1/2、オリーブオイル大1+1/2、塩少々、コショウ少々
- 牛肉(ステーキ用) 2枚
- 塩 小1/3
- コショウ 少々
- サラダ油 大1/2
調理方法
- トマトを湯むきした後横半分に切り、種を取り除いて粗く刻み、ザルにあげて汁気をきる
- ボウルで★を混ぜ合わせ、トマトとみじん切りの大葉を加える
- 牛肉に塩、コショウをふって常温に戻しておく
- フライパンでサラダ油を敷き、3を焼く
- 焼きあがったらカットし、器に盛った後2でできたソースをかける
魚系飲食店:「イワシのタイ風南蛮漬け」
さっぱりした魚と南蛮漬けの酸っぱさが、ビールと「似たもの同士」で合います。加えて調理も簡単でスピード提供に適しています。
材料
- イワシ 4尾
- 塩 少々
- コショウ 少々
- パクチー 1株
- タマネギ 1/2個
- クラッシュピーナッツ 大2
- ガーリックパウダー 小1
- 赤唐辛子 1本(なければ鷹の爪でも可)
- 酒 大1
- 砂糖 大1
- 酢 小1
- ゴマ油 小1/2
- ナンプラー 大2
- 水 80cc
- 小麦粉 適量
- サラダ油 大3
調理方法
- イワシは切り身を準備し、半身をさらに半分にそぎ切りにする。塩、コショウをして5分程度置く
- パクチーは根を切り、2~3cmに切る。タマネギは薄切りに、赤唐辛子は種を取ってはさみで小口切りにする
- イワシの水けをキッチンペーパーで拭い、小麦粉を薄くつけて、サラダ油を強火で熱したフライパンで両面をかりっと焼く
- 3はいったんバットなどに取り出す
- タマネギ、赤唐辛子、酒、砂糖、酢、ゴマ油、ナンプラーを入れて火にかける
- ひと煮立ちしたらガーリックパウダーを入れて、2/3量まで煮詰めて火を止める
- 3のイワシを入れてタレを絡める
- 皿に盛り付け、パクチー、クラッシュピーナッツをのせる
まとめ
いかがでしょうか?
ご紹介したようなおつまみを「ビールに合うものを用意しました」というアピール付きでメニューに載せれば、お客様の満足度アップに繋げることができるはずです。また、「塩味の利いた」「辛い」「油っこい」といったおつまみはほかにもいろいろと考案できるはずですから、ぜひ店舗に合った、そしてそれぞれのビールにも合ったオリジナル料理を提供して、繁盛店を目指しましょう。
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