
今や日本中のいたるところでB-1グルメや肉フェスなどを始め、食にまつわるイベントが開催されています。その中でも比較的歴史があるのが、ビアフェスです。ビアフェスとはその名の通り、ビア・フェスティバル、つまり「ビール祭り」です。この記事をお読みの飲食店関係者の方にとっても、ビアフェスに参加することにはメリットがあります。
そこで今回は、ビアフェスとはどういうものなのか、参加するメリットには何があるのかという点について解説していきます。
ビアフェスとは
ビアフェスとは、どういうイベントなのでしょうか。
実は、「ビアフェス」というのは登録商標です。ですから、日本で行われるビアフェスは、1つの団体が開催している1種類のものしかありません。もちろん、ビールイベント自体を規制することはできませんから、ほかの団体も類似のイベントを開催しています。しかし、よく見ていただくと、それらの名称は「ビール祭り」「ビールイベント」「ビールコンベンション」など、少なくとも「ビアフェス」というものは使われていないはずです。
「本家」ビアフェスの主催は、日本地ビール協会が行っています。正式名称は、「ジャパン・ビア・フェスティバル」になります。数ある「ビールイベント」の中では、日本最大のイベントになります。内容は、お金を払って入場すると、出展している地ビール会社のビールが、すべて50ml単位で何回でも試飲できるというものです。
1つの会場におよそ120種類以上の日本、及び世界の地ビールが展示されています。実施会場は、現在のところ東京、大阪、横浜、名古屋、福岡、沖縄の6カ所で、来場者は6会場合わせて延べ2万人です。もちろん、ほかの団体主催による「ビールイベント」も行われていますから、それらを含めると、日本の何カ所でビールイベントが行われているのかは、数えられないほど多いということになります。
ビアフェスにでるのは地ビール
ビアフェスで試飲できるものは、基本的には地ビールです。少なくとも、本家のビアフェスは主催が日本地ビール協会ですから、100%地ビールです。では、そもそも地ビールとはどういうものなのか少しおさらいしておきましょう。
地ビール=クラフトビール
最近のトレンドでは、地ビールとは言いません。地ビールは、「地元密着ビール」「地元ビールメーカーのビール」の略です。よって、単に「場所」だけの情報ですから、ビールの特徴や製法などの特徴を語っている名称ではありません。したがって、消費者に対する商品の訴求力はそれほど強くないのです。以上の理由から、「地ビール」はいったん「ブームが去った」名称なのです。
最近では、地ビールの代わりに「クラフトビール」という言い方をすることが増えてきました。クラフトビールは、英語で「craft beer」です。「craft」は手作りという意味ですから、クラフトビールは「手作りのビール」、つまり機械による大量生産されたビールではなく、「職人が職人技で心を込めて手作りした少量生産のビール」という意味です。最近では、クラフトビールの方が商品の便益が伝わるので、この名称が使われているのです。
アメリカなどでは何をクラフトビールと呼んでよいかということが法的にきちんと決められていますが、日本ではありません。ただし、1994年の酒税法改正によってビールの最低製造数量基準が2000キロリットルから60キロリットルになった時に、全国各地に小規模なビール醸造会社が現れました。小規模な会社によって醸造されたビールを「地ビール」と称し、第1次ブームが起きました。しかし、ブームはすぐに終わり、一時300社以上あった地ビール会社は、10年後に2/3にまで減少しました。現在のクラフトビールブームは、第一次クラフトビールブーム後も存続した「地ビール会社」が、今は「クラフトビール」と呼び方を変え、再度巻き返し図っているのです。「ビアフェス」もその一環です。
苦戦するビール市場でクラフトビールは善戦
若者のビール離れが加速し、ビール市場全体は漸減傾向と苦戦しています。ビール大手5社の2017年1~6月のビールの出荷量は、前年比で1.3%減でした。しかし、クラフトビールはその中でも善戦しています。出荷量こそ0.7%減と微減でしたが、メーカーでは全87社のうち61社が前年よりも出荷量を増やしているのです。つまり、一部は大苦戦していても、ほとんどの「クラフトビール会社」は業績を伸ばしているのです。
売上が上昇しているという点からも、消費者に地ビール(クラフトビールが受け入れられているということが推測できます。
ビアフェスへ参加するメリット
クラフトビール(これ以降は地ビールとは呼ばずに、クラフトビールと呼びます)を展開しているビアフェスに、飲食店が参加するメリットはあるのでしょうか。それを考える前に、そもそも参加できるのでしょうか。
本家ビアフェスへの飲食店の参加はできない
本家のビアフェスには、結論から言うと飲食店は参加できません。明確にビアフェスの参加資格や参加申し込み方法を記載した公式情報は、公になっていません。しかし、参加の有無を総合的に推測すると、まずは日本地ビール協会に参加していること、そして、クラフトビールメーカーであることが参加資格であると思われます。したがって、飲食店が店舗として「出展」することはできないでしょう。
参加するとすれば、一般グルメ消費者と同様に入場券を払って入場し、各種クラフトビールを試飲する方法になります。
ビアフェスへ参加している企業の状況は
参加しているクラフトビールメーカーにとって、ビアフェス参加のメリットはあるのでしょうか。「本家」以外のビアフェスには、飲食店が参加できるものもありますから、その実態を知っておくことも必要です。
数字的なデータではありませんが、ビアフェスに出展すると、飲食店からの引き合いの問い合わせは来るようです。ただし、出展費用がペイできているかというと、そうでもなさそうなのも垣間見えます。ちなみに、本家のビアフェスは「出展料」が無料です。その代わり、試飲のビールの費用はすべて自社持ちです。
したがって、どれだけの人が試飲するのかはわかりませんが、業界全体でクラフトビールへの消費者の関心は喚起できるものの、1社ごとの出展の効果はそれほど高くなさそうです。そのため、飲食店や酒販店との取引拡大のためなら、業者向けの展示会に出展した方が近道です。展示会ならその場で名刺交換ができて、取引につながりやすいでしょう。
ただし、トータルで見れば、クラフトビールの美味しさに目覚めた消費者が、飲食店でクラフトビールを選択的に飲むようになれば、回りまわって飲食店だけではなく、メーカーにもメリットはでてくるでしょう。
ビアフェスに参加するメリット
上記のとおり、飲食店の経営者や店長の方々は、ビアフェスには一般消費者に混ざって参加するしかありません。一般消費者として参加すると、以下のようなメリットがあります。
- 導入したいクラフトビールを発見できる
- 人気のビールが分かる
- ドリンクメニューの強化案を考えられる
ただし、出展しているビール会社との名刺交換はできないので、取引をしたい場合は、別途連絡する必要があります。
ビールイベントに飲食店が出展するメリット
本家のビアフェス以外に開催されている全国のビールイベントでは、飲食店に対する参加枠を設けているものもあります。それらに出展するメリットは、下記のようなことがあげられるでしょう。
- 店舗のPRになる
- 店舗で出している「ビールに合う料理」の宣伝ができる
- 新メニューのテストマーケティングができる
- 他の出展ブースを見て、新しい料理のヒントを得ることができる
- 他の出展ブースへの列の状況を見て、現在の消費者の嗜好が分かる
もしも現在クラフトビールを導入している、あるいは将来導入する予定があるのなら、出展者として参加するメリットは大いにあるといえるでしょう。
ビアフェスはいつどこで開催されるの?費用は?
ビアフェス、あるいはビールイベントの開催予定や費用は、どのように調べたらよいのでしょうか。
ビアフェスの開催(2018年)
2018年度の本家ビアフェスの開催予定は、既に以下のように決まっています。
- ビアフェス沖縄 春開催 那覇市内
- ビアフェス東京 6月2日~3日開催 恵比寿ガーデンプレイス「ザ・ガーデンホール」
- ビアフェス大阪 7月13日~15日開催 マイドーム大阪「展示ホール」
- ビアフェス名古屋 8月4日~5日開催 名古屋国際会議場「白鳥ホール」
- ビアフェス横浜 9月15日~17日開催 横浜港「大さん橋ホール」
繰り返しになりますが、本家のビアフェスには飲食店は出展できません。あくまでも、グルメ消費者として一般と同じように参加するだけです。情報はこちらでチェックできます。
ただし、本家ビアフェスにもフードブースはあります。そのため、場合によってはフードブース枠で飲食店としての出展が、わずかながらあるかもしれません。少しでも気になる経営者、関係者の方は、ぜひとも協会へ連絡を取ってみてください。
日本地ビール協会
〒662-0099 西宮市剣谷町7番7号
TEL 0798-70-7171
FAX 0798-70-7172
公式サイト:http://www.beertaster.org/
飲食店専用ページ:http://www.beertaster.org/member/beerpub.html
ビールイベントの開催
ビアフェス以外の様々な団体が主催しているビールイベントは、団体個々が告知していますので、都度探すしかありません。そのための便利なサイトが、以下のビールイベントのまとめサイトです。以下のサイトを定期的にチェックして、出展あるいは参加できそうなものを探しましょう。
ビールイベント・フェスティバル カレンダー【全国版】 - ビアパレット
参加費や出展料について
では、出展料や参加費はいくらなのでしょうか。
本家のビアフェスの出展料は、0円です。ただし、ビール代は持ち出しです。これに対して、参加者の入場料は以下の通りです。
- 前売券:4,600円(フード券付き5,500円)
- 当日券:5,000円
- 前夜祭前売券:3,600円
ビアフェス以外のビールイベントの参加費や出展料は、イベントごとにそれぞれ違います。たとえば、「スノーモンキービアライブ」という志賀高原でのビールイベントは、参加費が4,500円~9,200円です。出展料は公開されていませんので、公式サイトに記載されている主催者のメールアドレスか電話へ問い合わせるしかありません。
まとめ
いかがでしょうか。
一般の食フェスは飲食店の参加に関してオープンで、出展料や申し込み方法が開示されている場合が多いです。それに比べると、ビールイベントは閉ざされた傾向が強いのが特徴です。よって、飲食店にとっては、出展へのハードルが非常に高いイベントだといえます。逆に言えば、出展できれば競合の飲食店が少ないということですから、それはそれでメリットがあるでしょう。
まずは、いちグルメ消費者としてビアフェスに参加し、クラフトビールの状況や一般消費者の嗜好などをリサーチするだけでも、活用できる情報をゲットすることができるのではないでしょうか。
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