青色事業専従者給与とは?適用できる条件と活用する際の注意点

開業・経営

青色申告の特典の1つとして、家族に支払う給与を所得から控除する「青色事業専従者給与」があります。これは課税所得を減らすことで節税のメリットを受ける仕組みですが、一定の条件を満たさないと適用されません。

そこで本記事では、青色事業専従者給与の意味や活用するための要件、注意点について解説します。節税対策を行いたい個人事業主やフリーランスの方は、ぜひご確認ください。

青色事業専従者給与とは?

まずは青色事業専従者給与の意味や、必要な届け出について説明します。また、確定申告の基礎知識として、そもそも青色申告とは何なのかを解説します。

青色申告の税制面の優遇である「専従者給与」

専従者給与とは、自分の仕事を一緒に取り組んでくれる家族に支払う給与のことです。青色申告の特典の1つであり、家族に支払った給与はすべて経費にすることができます。つまり、個人事業主の課税所得を減らすことによって、節税につなげられる制度です。

なお、白色申告者が利用できる「専従者控除」という制度もありますが、控除額には上限が設定されています。専従者が配偶者のケースでは86万円の控除、それ以外の親族ならば一人につき50万円の控除なので、専従者給与ほどの節税効果はありません。

税制上のメリットを享受したいならば、青色申告の専従者給与を選択しましょう。

【出典】No.2075 青色事業専従者給与と事業専従者控除
https://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/taxanswer/shotoku/2075.htm

青色申告とは?

青色申告とは、確定申告の一種で所得税を正しく納税するために行う申告納税制度のことです。何らかの事業所得(個人事業や副業など)や不動産所得、山林所得がある方が対象になります。白色申告との違いは、さまざまな税制面の優遇を受けられるところで、主に以下のような特典があります。

青色申告特別控除

税務署に必要書類を提出することで、最大で65万円の控除を受けられます。令和2年分以後は最大55万円に変更されたものの、所定の要件をすべて満たせば(例:e-Taxによる電子申告など)、引き続き65万円が控除されます。

事業専従者給与の経費計上

家族へ支払った給与を必要経費として計上し、所得控除を受けられます。ただし、事前に提出した届出書に記載された金額の範囲内で、なおかつ労務の対価として適正な給与でなければなりません。

貸倒引当金

貸倒引当金が必要な経費として認められます。貸倒引当金とは、事業を行う上で売上金の回収ができなくなった場合に備えて、損失の見込み額をあらかじめ計上することです。

【出典】No.2070 青色申告制度(国税庁)
https://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/taxanswer/shotoku/2070.htm

「青色事業専従者給与に関する届出書」の提出期限

家族に専従者給与を支払うには「青色事業専従者給与に関する届出書」が必要です。氏名や続柄、年齢、従事している期間、給与金額などの項目を記入した上で、税務署に提出しましょう。

提出期限は、青色事業専従者給与額を経費に算入する年の3月15日までです。なお、その年の1月16日以降に事業を開業した方、または青色事業専従者が働き始めた場合は、その日(開業日・専従者の労働開始日)から2カ月以内に提出しなければなりません。

ただし、提出期限は年によって変更されることがあるので、国税庁のホームページでご確認ください。

【出典】[手続名]青色事業専従者給与に関する届出手続(国税庁)
https://www.nta.go.jp/taxes/tetsuzuki/shinsei/annai/shinkoku/annai/12.htm

家族に事業専従者給与を支給する条件

青色申告者と生計を同一にする配偶者、または親族であること

専従者として認められるのは、青色申告者である個人事業主と家計の収入源が同じ家族です。つまり配偶者やその他の親族は、青色申告者の事業に従事していると判断される必要があります。

反対に、専従者として給与を受け取る家族が別の仕事をしており、そちらで安定した収入がある場合は対象となりません。専従の基準は明確ではありませんが、副業を継続的に行っている場合は認められない可能性もあります。

申告の対象となる年の12月31日時点で15歳以上であること

専従者として申告をする人は15歳以上であり、申告する事業以外の仕事をしていない人物と定義されています。また、学生は学業が本分であるため、基本的には対象から外れます。

一方、就学している場合でも専従が妨げられない(例:大学が夜間部)と見なされる場合もあります。

青色申告者の事業に、6カ月を超える期間専従していること

家族を専従者にするためには、青色申告者(納税者)が経営する会社で、1年間のうち6カ月以上は事業に専従している必要があります。そのため、専従者に「1カ月だけ仕事を手伝ってもらった」といった場合は条件に合いません。

ただし、年の途中で開業した場合は求められる期間が異なり、従事できる期間の2分の1を満たしていれば問題ありません。

高すぎる給与設定をしないこと

専従者の給与額が仕事内容に対して妥当でないと判断されると、経費計上は認められません。これは経費計上の名目で所得税を必要以上に抑えようとするのを防ぐためのルールです。給与額が過大にならないように、以下のポイントに注意しましょう。

  • 仕事の内容や必要な専門性に対して妥当な金額か
  • 他の従業員と比べて高すぎないか
  • 同業同職種の賃金と乖離していないか

支払い給与額の目安は10万円以下とされており、10万円を超えると税務署から業務内容の問い合わせが来ることがあります。10万円以上に設定すること自体は問題ありませんが、問い合わせへの対応や源泉徴収の手間が発生することは把握しておきましょう。

事業専従者給与を活用するための注意点

最後に、事業専従者給与を活用する際の注意点を解説します。節税効果を高めるためには、給料の決め方が大切です。

配偶者控除や扶養控除よりも高い額を設定する

まず配偶者控除とは、年間の合計所得金額が一定以下の配偶者がいる場合に納税者が受けられる控除のことです。そして扶養控除とは、扶養親族に該当する子供や両親などがいるときに受けられる控除です。青色事業専従者給与の支払いを受けている家族には、これらの控除が使えなくなります。

例えば配偶者を青色事業専従者にすると、最大で38万円の配偶者控除が受けられなくなるのです。そのため事業専従者給与を活用するならば、少なくとも年間38万円以上の給与を支払わなければ損をしてしまいます。扶養家族の場合も同様で、「一般の控除対象扶養親族」という区分では38万円の控除額が設定されており、専従者給与の活用には注意が必要です。

青色事業専従者給与控除と配偶者控除・扶養控除のどちらで控除額が高くなるか、事前に把握しておきましょう。

税金の金額を比較して検討する

青色専従者が支払う税金と、青色申告者が軽減できる税金は比較検討すべきです。なぜならば青色専従者の場合も、収入が100万円を超えると住民税がかかりますし、103万円を超えると所得税が発生するからです。

一方で、青色申告者の課税所得が大きくなるにつれて、累進課税で税率が上がってしまいます。ご自身とご家族のトータルの税負担を軽くするにはどうすれば良いか、確定申告ツール(e-Taxなど)を使って計算してみてください。

また、税金を比較するだけではなく、保険料の支払い金額にも注意しましょう。まず国民健康保険料に関して、支払額は世帯の所得を基に計算されるため、専従者給与を支払っても安くなることはありません。そして社会保険については、専従者の収入が一定額を超えると、個人事業主の扶養から外れてるので、自ら加入する必要があります。

事業専従者給与を活用するときは、税金や保険料の総額がいくらになるのかを考慮することが大切です。

【出典】No.1180 扶養控除(国税庁)
https://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/taxanswer/shotoku/1180.htm
【出典】No.1191 配偶者控除(国税庁)
https://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/taxanswer/shotoku/1191.htm

青色事業専従者給与は節税につながります

今回は青色事業専従者給与の概要や、正しい活用方法について解説しました。家族に専従者給与を支払うことによって、さまざまな税制面のメリットを受けられます。先述した支給条件を満たせる場合には、活用を検討するのも良いでしょう。

ただし、配偶者控除・扶養控除との併用ができないことや、会計処理が増えるなどのデメリットもあります。あらかじめ税額をシミュレーションしてから、活用の要否を判断することをおすすめします。

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